「1年越しの恋」

香織ちゃんと歩を見て


JJの先輩は

『お疲れ様です』

と挨拶をした


俺は

『皆んな、兄貴の彼女だちょっと抜けるわ』


光ちんが『気にすんな、たまには休め』


俺が『歩、かおちゃん久しぶりじゃん!』


まだ小6の俺はかおちゃんの

優しい笑顔に自然と心を許していた

どこか憧れていたのかもしれない


香織ちゃんが

『立派になったね、陸ちゃん』


俺は素直に嬉しく

『兄貴より?』

と笑い


ふふと微笑んで

『そうねー、頑張んなきゃねー』


ふーっやっぱ子供扱いか、ため息をつき

『兄貴呼んでくる?』


香織ちゃんが『うん、お願いできる?』


俺は『ちょっと待ってて』


久しぶりに見た香織ちゃんは


兄貴とお揃いの

クロスのネックレスとピアスをしていた

長い茶色の髪は緩いパーマをかけ

水色のシャツに

白いパンツだった

前よりずっと爽やかな大人に見えた


兄貴が流星会を作った頃

クロスのネックレスとピアスを

付けた美人に近付くのは

タブーとされていたと

JJの先輩や流星会の人に

聞いていた


気付くと俺の仲間は無言でタバコを消し

兄貴が出て来るか見ていた


俺は裏のドアから

『兄貴ー、かおちゃん来てる』


兄貴は『ああ?おーちょっと待ってろ』


『兄貴とお揃いのアクセしてるよ』

とボソッと言い戻ってきた


俺は『かおちゃん今来るって』


香織ちゃんは

『そう、ありがとう、ねぇ陸ちゃん、

歩の事を大切に考えるんだよ?

1年越しの恋に耐えた女は強いんだから』


と、私もと言うように歩の肩を抱いた


『うん』と返事をして


俺は『歩さー、何でいつも急なの?

電話したらいいじゃん』


歩は『陸は電話してもいつも出ないよ?』


あっ鬼貴族の時も今もだ着信があった


俺は

『悪い、仲間にちょっと修行つけてたから携帯置いといたんだ、ちゃんと見るよ』


歩は『陸は電話してくれないの?』


……

『いや、電話しようと思ったけど、

なんか出来なくて』


香織ちゃんが助け船を出してくれた


『もう流くんと一緒だね、恋愛だけは

不器用なんでしょ、歩も覚悟しなきゃ』


歩は『出来てますよー、でもたまにはって

ごめんねワガママ言って』


俺は『いや、俺もワガママだから』


と言っているとサマースーツ姿の

兄貴が出て来た


俺の仲間とJJの先輩は後ろで整列して

 『お疲れ様です』『ご無沙汰しています』


  とデカい声で言った


兄貴は『おう』と言い


『香織ー待たせたな』


と兄貴が言うと


香織ちゃんは涙を流し


『何余裕な顔で、迎えに来てよー!』


と細い腕で兄貴を抱きしめた

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