「純粋で綺麗な人」

俺は車で20分位か

と思いながら

今日は本当に色々ありすぎる

と隣の歩を見てつくづく思った


目は大きな二重で

グレーの瞳をしている

顔はものすごく小さい

長い髪はサラサラで

細身の紺色のパンツに

白の長めの半袖のニットを着ている

この前も思ったが

化粧はほぼしてないだろう

むしろ、必要ないのかもしれない


俺は坂道を登りながら


『綺麗だな』と唐突に言った


歩は『えっ⁉︎何かあった⁉︎』


と振り向いている

前はただの住宅街の坂道だ


俺は

『いやいやいや、マジで何もないごめん』


と唐突に発した事に照れて

『はっはっはっ』と笑い出してしまった


歩は

『ねえ、本当に何⁉︎何かおかしい⁉︎』


俺は

『ただの思い出し笑い、ごめんごめん』


歩は納得しないように

『んー』と言い


『陸君は夏休みいつまで?』


俺は

『陸でいいよ、俺学校の行事とか

分かんねーんだマジで、歩と同じ位かな』


歩は

『じゃあ名前は慣れたら、予定って…』


俺は

『明日徹さんのとこ行って、警察に呼ばれる

かもしれねーけど、今回はすぐ帰れるよ』


歩は

『あっうん、何で陸君が警察に?』


何だよ聖川言ってないのかよー

と思いながら


俺は

『俺達4人で鬼貴族って族潰そうとした

から、途中で流星会が助けてくれたけど』


歩は

『4人で⁉︎あっだから怪我してるんだ。

相手の人30人位だよね?

警察に捕まらない?』


俺は

『ああ、ちょっと厳しかったけどな、

大丈夫だよ、警察で何もしなきゃな』


『はっはっは』と笑ったが


歩は堅く真剣な表情だった

『そんな理由もない事でダメだよ』


そんな気持ちも素直に受け取れず

『うるせーな、相手が誰でも

ムカつく理由があんだよ』


そう言った直後、言っている時も

自分を本当バカだな、と思い、

純粋な優しさを振り払うなら

この子を傷付ける前にやめろ、と思った


俺は

『なー、俺やっぱ傷付けるばっかだから』

と言う途中で


歩は

『こんな事で嫌になるぐらいなら

あの時までずっと会えるのを待ってないよ、

1年位経ったから、声かけちゃったけど…』


と言った


1年間は長い、会える確信もないのに

周りが恋愛をしたら辛かっただろう


あの日、本気で尊敬する徹さんを失って、

同じ日に出会った歩とゆう純粋な子は

失ってはいけない子だと

出会ったのは何かの理由があると思った


沈黙が続いて

歩の家の近くに近付くと


『俺は素直じゃねーけど、

なれる努力はしてみる』


とだけ言った

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