「総長2人」
ピンポーンと音が鳴り
ばあちゃんが迎えに出た
『お兄ちゃんお友達だよ』
と俺たちに言った
兄貴は迎えに行って
無言で戻って来た
俺たちは必死で涙を拭いた
パーマを七三に分けたリーゼントに
黒いスーツ姿の貫禄ある人は力也さんだ
昔よく可愛がってもらった、
何度か見た事がある
パンチパーマに
同じく黒いスーツ姿の
上田さんだった
力也さんが
『本当に悪かった、力不足だ
時間も取らせて申し訳ねー』
上田さんが
『流さん、ご無沙汰しています、
ご出院おめでとうございます』
と2人がそれぞれ頭を下げて言ったが
兄貴は切れた
『上田ー、テメーよー、
そんな挨拶より言う事あんだろーが』
後ろを向いていた兄貴は、
少し低い姿勢になり
上田さんのこみかみに
後ろ回し蹴りを踵で入れた
“ドッ"と鈍い音がして
上田さんはタンスに頭を打ち
タンスには穴が空いた
兄貴がため息をつき
力也さんを親指で指し
『力也は昔からのだ知ってるか、
俺とタメで浜連の元総長の力也だ』
俺たちは座ったままで挨拶して
いいのか迷ったが、そのまま
俺は
『こんにちは、一条陸です、
すみません来ていただいて』
一馬が
『初めまして、仲間一馬です、
尊敬する先輩だったので、状況など
お話聞かせて下さい、お願いします』
兄貴が
『お前等も座れ、聞いての通りだ
お前等がいてどうしてこうなった?』
力也さんが口を開いた
『忍と徹は筋の通ったいい男だった、
俺もかわいがってたんだ、だから
最後くらい一緒にって走ってな、
順調に走って流れ解散って時に
パーカーに追われて、
徹と忍が
ケツモチするからって言って
そこからは見たヤツがいねーんだ、
こんな事になって本当に申し訳ねー』
上田さんは責任を背負うように
正座でただただ頭を下げた
俺たちは何かにイラついた
誰かのせい、何かのせいに
せずにはいられなかった
俺たちが最後の最後まで
走っていたら
あの日もう1度会えたら
最後は気を付けて下さいよ
と笑って言えば良かった
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