「横浜のカリスマ龍誓会」

龍善と俺がエンジンをかけると

"ゴロゴロゴロゴロ"

といつも通り

機嫌が悪そうに

旧車の直管独特の音がする

ニュートラルに入れたまま

アクセルを少しひねると

“ゴオヴー"隣では"バブー"

と龍善がバブにまたがった


俺は龍善に

『RZ350』ほしくね?

と言うと

『おーずっとじゃなくていいけど

あの高音は目立つよなー』


RZは昔750キラーと言われ

大型をも凌ぐ速さで

負けないとゆうのが売りだった

らしい、俺たちの間で話題は

RZの音だった

族車で1番の高音は

とにかくやたらとうるさい

何台単車がいても、

絶対に分かるし、目立つ


『今度単車手に入ったら

RZだなー、あとZ II』


と言いタバコに火をつけ

ジャニーKへ向かった


『バブーブァンブァンブー』

『ンバーブアアンブーン』


一馬が

『龍善吹かすのうめーな』

『あー、龍善と真人はやべーよ』

『真人は何乗ってんの?』

『CBXとザリ乗ってんの

見た事あるな、俺たちと

かぶらねー為にだろ』


など話しながら16号に入る

大通りで車を止める為に

2台で単車をふかし

直前まで来る、なめた車は

一馬に鉄板入りブーツで

ライトを割られ

龍善が車の横につけ

ドアミラーやガラスを割られた


俺は

『今日は忍さん達いねーなー?』

龍善も

『ああ、なんか楽しみ

だったんだけどな』


と車を止め話していると

クラクションをプアァァァン

と鳴らし接近する車があった

なんだー?喧嘩かー?

と思ったら

見慣れたシーマだった


『よー、偉いじゃん

今日はメットアリだな』

と話しかけてきた


俺が

『忍さん、徹さん』

と言い一馬も

『ご無沙汰してます』

とデカい声で言い

龍善も寄ってきて

『お疲れっす』と

嬉しそうな笑顔だった

忍さんが

『次のコンビニな』

と言い直管の車を

"ゴオオオオ"とアクセル

ベタ踏みで走って行った


一馬が

『カッケーなーやっぱ、

お前等が憧れるの分かるわ』

と言い

俺は

『俺たち見ると面倒見てくれてよ、

兄貴を慕ってくれて嬉しいよ』

と言った


コンビニに着くと

缶コーヒーを持って

手を振っている


皆んな単車を隠し

走って行った


忍さんが

3本冷たいコーヒーを投げてくれて

徹さんが

『メット被ってたじゃん、

少しは聞いてくれたか?』

俺は

『はい、2個しかなかったんで

2ケツの方で被りました』

と言い

忍さんが

『龍善は単騎だから

ケツモチで逃げやすいからな』

『いや、絶対暑いからっす』

龍善が

『おい!お前なー』


と言うと笑っていた


徹さんが

『一馬?家近くてガキの時

話したよな?』

『はい、学校復帰しました』

『それがいいよ、思ってるより

青春の時間は短いからよ、仲間と

笑った時間を増やした方がいいよ』


と言われ

一馬は印象が変わったようで

『忍さんや徹さんみたいに、

仕事しながら好きな事したいです』


と目標を見つけたようだった


忍さんは

『俺たちはまだまだだ、ガキだしな』

と言うが

龍善も

『カッケーっす、めっちゃ暴れても

やる事やるの、俺等にはまだまだ』


徹さんが

『そりゃ年の功だ』

と言い皆んなで笑った


俺が

『今年で引退するんですよね?

 1年か2年早くないですか?』


忍さんと徹さんが顔を合わせ

『んー、目標っつーか

尊敬する流さんもいねーしな、

急に熱が冷めたんだよなあ』


龍善が

『でも忍さんと徹さんいたら

 総長になって走れますよね?』


徹さんが

『俺たちが族やる時も終わる時も

流さんとって決めてたし、

色々あるんだよ』


忍さんも

『流さんが作った流星会の時が

1番楽しかったなー、

あの時燃え尽きてたんだよ』


俺は

『忍さんや徹さんが憧れるほどですか?』


忍さんと徹さんは当然のように


『ああ、男が男に惚れるってヤツ、

流星会は流誓会ともいってよ、

命をかけても付いていきたいんだよ』


『中途半端は無し、頭しか絶対入れない、

流誓会は最強だった、あのままいけば

神奈川も関東も全国も夢じゃねーと思った』


『そんな夢を本気で見させてくれる男は

そーいねーぞ、俺の誇りだ、流星会を

軽々しく言うヤツにも腹が立つくらいだ』


とイキイキした目で話してくれた

時の2人は本当に楽しそうだった


忍さんが

『ま、あんま無茶しねーで仲良くしろよ、

今度俺と徹の服やるから家来いよ』


と言ってくれて

俺と龍善と一馬は

『ありがとうございます』

と言うと


徹さんは

『気を付けろよー』と言い

『行くべ忍』と車のエンジンをかけた

忍さんが

『引退集会、流さんがいいって言ったら

参加していいぞー』

と車に乗った


『お疲れ様です』

と言い

ドアミラーを開け手を振る姿に


3人で

『カッコよすぎだろー』

『引退集会行っていいって』

『でもお前の兄貴が』

『大丈夫だ、出て来なきゃ行くし、

出て来てもダメって言わねーよ』


と興奮していた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る