「いつも通り」
中は思ったより狭く
裁判官と書記のような
存在がいただけだった
こっち側は
机と椅子だけがあった
座っていいんだろうと思い、
座ろうとしたら
裁判官に
『待ちなさい、座っていいと
言われてから座りなさい』
と言われ何なんだよ、
うっとおしいと久々に思ったが
ここまで来てくれた
聖川を裏切るわけにいかない
『分かりました』と言った
裁判官が
『では、名前と生年月日を
言って下さい』
『一条陸、1980年4月28日生まれ』
『本籍は?』
本籍って何だ?と思い
『本籍?』と母親に聞いた
母親が『神奈川です』
『分かりました、座って下さい』
『えー本事件は学校の授業中に
教師の腹部を殴り、全治1か月
の怪我を負わせた、間違いないですか?』
『はい、間違いありません』
裁判官と言っても相手は少年だ
相当に悪質でなければ
まあ普通に聞くように話を出来る
『なぜこうゆう事をしたのかな?』
『自分に注意しに近付いてきたからです』
『近付いたら殴るじゃあ隔離
するしかないよね?
危ない人だと思わない?』
『思います』
『それは直らないの?
常に殴ってるようになるよね?』
『それからは殴ってません』
『それはなぜ?』
『仲間と約束したからです』
『我慢出来るじゃない、
何でもっと気付かなかった?』
『…分かんないです』
『反省していますか?』
『はい』
『お母さんはしっかり見て、
これから指導をしてくれますか?』
母親は
『はい、申し訳ありません』
と頭を下げた
こんな感じの会話だったと思う。
反省をしているか、
家庭環境はどうか、
家族がしっかり支えるか、
この辺が大きい所だ
『分かりました、今回は半年間の
保護観察処分にします、
しっかり保護司さんの所へ
行って下さい』
『ありがとうございました』
と言い扉を開けた
聖川が『どうだった?』
と急いで聞きに来たので
『大丈夫だ、保護観で済んだ』
聖川はふーっとため息をつき
俺を『おい』と呼び"パチン"と
右手と右手でハイタッチをした
帰り道母親が、
『保護司さんは
お兄ちゃんと同じ人だから
優しいよ』
と言ったが、兄弟で世話になるのも
どうなんだろうと思った
母親に
『なぁ兄貴もうすぐでしょ?』
『うん、もうすぐだね、
寒かっただろうに、やっとゆっくり
眠れるね』
と言われ
"寒かっただろうに"
という言葉がすごくリアルに
聞こえた
兄貴には優しく美人で有名な彼女がいた
『香ちゃんとか待ってないの?』
『待ってないでしょー、
何回も長引いて愛想尽かすよ』
そんなもんかーと思い
よく遊んでくれたから、
あの人ならと思ったけどなぁ
と心の中で思っていた
母親はご丁寧に学校の前まで
送ってくれて
気付くと
俺はうわーっ俺ブレザーと思った
聖川に
『マジでありがとな』
と言い
『上だけブレザーなんですけど』
と爆笑し
聖川も
『ダッサ、マジでやべえわ
写真撮っていい?』
と言われ
『お前ふざけんな』
と笑い
幸いにも6月の暑い日だったので、
ボンタンにシャツで
何とかなった
学校に入ると教師の連中が
ジロジロ見るので
『テメーら俺が鑑別入らなくて
残念だったな、ジロジロ見てんなよ』
と
その辺にあるガラスを割り
さらに消化器をぶん投げてやった
教室の前に行くとメンバーもほぼ
全員集合していた
光ちんが
『戻ってきたなら大丈夫だな』
といつも通り
『イェーイ陸ー良かったな』
とハイタッチをし
龍善も
ハイタッチをし
豊は
『本当気を付けろよー』と言い
涼が
『お前いないとつまんねーからな』
政が
『良かったよーマジでー』と
"パチン"
とハイタッチをし
他のメンバー全員に
『サンキュー』と言い
全員と"パチンパチン"
とハイタッチをした
矢田が
『やっぱ陸いると迫力が違うわ、
危ないオーラが』
と言い
『お前言うようになった
じゃねーかよこのやろう』
と強めに肩パンした
『家裁も終わったし、
何か揉め事ないのー?』
と言ったが、
涼が
『ねーよ、でも退屈だからよ
学校のプールで遊ぶ事にしたよ』
『お前それ最高!!後で殴る』
と言うと
涼が『だから何でだよ』
と話しているうちに
皆んなで爆笑していた
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