第09話 楽しい、スキル取得①

 「スキル取得に移りますかー」


 「ふぁ~い」

 「ええ、楽しみですねー」

 「沢山とる……ふんすッ」


 スキルポイントも彼女達のお陰で、沢山ある。ついついワクワクしてしまう。

 一呼吸してから、点滅しながら自己主張している右上の『取得可能スキル一覧』の文言をタップする。


 すると、新たな一覧画面が斜め上に表示される。


 えっと、元々、表示してたスキル画面を左側に少しずらして、正面にスペースを作り、一覧画面を移動……そして、サイズをもうちょい拡大してっと。


 ソートや条件による絞り込み機能も付いている。使い勝手は良さそうだ。


 それと、女神曰く、

  ・デフォルトの初期表示は、適正が高いもの順

  ・現時点で適正がないスキルは表示されない

  ・当然、一覧の表示内容は各々で異なる


 俺の初期表示内容は、

---------------------------------------

分類 名称   レベル  ポイント

---------------------------------------

戦技 剣術   Lv.3

戦技 刀術   Lv.5

戦技 拳術   Lv.4

戦技 体術   Lv.5

     :

     :

---------------------------------------


 まずは、項目から確認する。

  ・分類  :戦技、魔法、耐性、魔力、強化、生産、特殊、支援

  ・名称  :スキル名称

  ・レベル :スキルレベル

  ・ポイント:取得に必要なスキルポイント


 初期表示は、適正が高い順だから、身に付けているスキルが表示されている。

 取り敢えず、先頭の『剣術』をタップしてみる。

---------------------------------------

戦技 剣術   Lv.3

    ┣----- Lv.4    150p

    ┣----- Lv.5    310p

    ┗----- Lv.6    630p

---------------------------------------


 するとレベルのツリーを伴って再表示された。もう一度タップしてみるとツリーが消える。なるほどー。


 レベル6までしか表示されていない。それは、ここでの取得上限がレベル6までだかららしい。注意書きにもあったし、「レベル6以上は、自身で鍛えて……レベルアップするのでーす」と女神が言っていた……と思う。


 お、カートもあるのかー。

 適当にスキル選んでカートに入れてみる。すると、カート画面が別途、斜め前に表示される。


 ほーほー……なるほど、カート内でもスキル微調整が出来ると……安心、安全の設計だね。実に素晴らしい。誰が作ってるか知らないが、ユーザーに優しい仕様で有り難い。


 それと、見易さや操作を考慮して、スキル画面を更に左側に寄せて、センターに一覧画面、右側にカート画面を配置し直す。


 うん、これで、良し。


 取り敢えずは、どんなスキルがあるか気になるので、一通り、分類毎にチェックしていく。


 サクラ、ヒナタ、コトハ達は、画面と睨めっこをしながら、あーだこーだと楽しそうに選んでいる。今のところ、問題はないようだ。


 ん?明らかに……取得ポイントで差がある。


 「適正度合によって、取得ポイントに……差が生じている?」

 考えていたことが言葉として口から洩れてしまった。


 「ほにゃ?」

 「ええ、それで合ってますよー……女神様の説明では」

 「ん?」

 サクラとコトハは、ポイントの差について気にしていないようだ。


 ヒナタの話から、また女神の話を聞き逃していたみたいで、少し反省。

 でも、自身にとって重要な説明だから……身構えていたはず。聞き逃すはずないんだよなー。

 まさか、基本的な説明は全員同じで……細部は個々で違うとか……。そんな器用なこと……ないなー。でも自称女神って言うくらいだから……そもそも可能かー能力的に。


 取り敢えず、今考えることは、女神の器用さではないな。逸れた思考を戻す。


 それで、普通に考えて適正度合が高いほど、能力がスキルとして昇華し易いと考えるのが自然だよな。その逆に、適正度合が低いほど、取得ポイントが高くなっていくと。なるほどね。


 「……闇魔法……ぐっふふ」

 めっちゃ喜んでいるコトハ。口元を押さえているけど、距離が近いから俺含め他の2人にも丸聞こえである。


 闇魔法かー、……えっと、俺とところには……うーんと、ない。残念で羨ましい。


 「魔法で取得可能なのが、火、水、風、土、……雷、影……やっぱり、闇はないな」


 「私はですねー……雷、影、闇はーないですねーその代わり、……氷、聖がありますねー」

 「雷と光があるよ~」

 「氷もある……ふんすッ」


 ヒナタに続き、サクラも俺のところに表示されてない魔法が……コトハは追加で氷魔法もあるようだ。鼻息が荒いけど、喜んでいるのでスルー。


 再度聞き直し、整理すると、

  ・俺  : 火、水、風、土、 雷、 影

  ・サクラ: 火、水、風、土、 雷、 光

  ・ヒナタ: 火、水、風、土、 氷、 聖

  ・コトハ: 火、水、風、土、 氷、 闇


 火、水、風、土魔法は、4人共に取得可能なようで何よりだ。雷魔法は、俺とサクラの2人だけ。同じく氷魔法は、ヒナタとコトハの2人だけ。で、影、光、聖、闇はそれぞれで被っていない。


 氷と闇魔法は、あったら欲しかった魔法……適正がないのが残念でならない。只、現時点での適正であり、もしかすると将来、適正を得る可能性はある……と期待したい。希望を抱くのは自由だからな。


 表示されている魔法を全て選択して、カートに放り込んでいく。


 「ハルー耐性はどうするー?なんか色々あるよ~」

 「全取りで」

 サクラからの投げ掛けに即答。


 俺のところにも色々な耐性が表示されているが、あって困るようなものは何一つない。魔法同様に全て選択して、カートに放り込む。


 魔力系は、何があるかなー。

 「お、魔力精密操作っ!」


 「えっ?ないよーハル」

 「ええ、『精密』は……ないですねー……魔力操作ならありますが」

 「こっちも同じ」


 俺以外は、魔力操作かー。どのくらい差があるか分からないが、少し優越感があって、嬉しい。


 「ハル―、つぎー、……強化系?」

 語尾を疑問形にして、俺待ちのサクラ。


 「好きに見ていって良いのだぞ、サクラ」と思いつつも口には出さず、素直に強化系で絞り……表示し直す。


 色々あるなー。でもポイントが限られているから、優先順位が明らかに高めのものを列挙して伝える。

 「まずは、身体強化で、それと……物理貫通、魔力貫通に……、えっーと……体力自然回復、魔力自然回復……が必須で、あとはご自由に、かな」


 「ふぁーい……ある~」

 「ほんと、貫通系があるとかー……ゲームみたいですねー」

 「貫通マシマシで……ぐっふふ」


 次は、特殊系で……取得経験値かー。タップしてツリーを表示させる。

-----------------------------------------

特殊 取得経験値1.2倍

    ┣----- 1.4倍    400p

    ┣----- 1.6倍    600p

    ┣----- 1.8倍    800p

    ┣----- 2.0倍   1,000p

    ┗----- 3.0倍   2,000p

-----------------------------------------


 3倍まで取得可能らしいが、必要なポイントが……、

 「高っ!」


 「ほにゃ?」

 「何が、ですかー」

 「む?」


 「『取得経験値3.0倍』が欲しいけど、俺のポイント的には、厳しいようで……取ろう思えば可能だけど、他にもほしいスキルあるだろうし……頑張って『2.0倍』」


 「私もーもー」

 「……ええ、私も『2.0倍』……致し方ないですねー」

 「『3.0倍』……ふんすッ」


 サクラとヒナタは、俺同様に『2.0倍』で、コトハは、『3.0倍』にするっぽい。やはりポイント長者は違いますなー。


 取得熟練度も……『2.0倍』を選んで、カートにポイっとね。

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