第05話 嬉しい、ステータス反映

 『ステータス・オープン』を唱え、画面を表示。さっきは無かった右上に『ステータスポイント:2,210』が表示されている。


 追加したい項目の(0)の個所を意識すると▲▼の記号がポップして値を調整できるようだ。因みに、指で直接タップしても問題なく反応する。操作性は悪くない。


 あ、その前に、要らぬ心配だと思うが彼女達に伝えとく。

 「『知力』、『技巧』、『俊敏』は、追加上限100まで……忘れずにね!」


 「えっ?」

 「サクラー、ダメですよー忘れたら。フフッ」

 「サクラ……アウト」


 「忘れてない……よー」

 「本当に……サクラったら」

 「サクラの『知力』追加上限……撤廃……切望」


 「えー、コトハ……酷いよ~」

 「サクラには必要かもしれませんねー」

 「女神様……はよう」


 ヒナタ、コトハによるサクラ弄りをBGMにしながら、俺もそれらを上限100まで追加し、300ほど消費する。


 残りのポイントは……1,910。


 追加可能項目は、『体力』、『魔力』、『物攻』、『物防』、『魔攻』、『魔防』。

 この空間にいる間は、やり直し可能なので、あれやこれやと入力しながら試してみる。自身の能力が上がると思うと、当然、楽しくて仕方がない。ついついニマニマしてしまう。


 うーん、悩む。

 項目からも分かるようにこれから向かう世界は、ゲームのような剣と魔法のファンタジー全開……当然、魔物が跋扈している。相手が魔物だけとも限らない、戦争が激化しているなら、対人戦もあるだろう。


 『体力』に重きをおいても削られまくったら意味ないので、防御力も上げとかないと意味がないし。

 それに、ゲーム風で言う……痛恨の一撃やクリティカルヒットを喰らって、一撃で死亡もあり得るわけで……。


 『魔力』によるゴリ押し……魔法ブッパしても魔力耐性が高い相手なら、効果が低い可能性だってある。


 うーん、相手によって変わるのだから、正解がない?


 当然、そうなる。分かってはいるが、考えてしまうんだよねー。


 うん、素直に自身の好きな戦闘スタイルにしよう。それなら、後悔が少ないな。

 ノーダメで切り抜けるのが好きだから、『俊敏』をめっちゃ上げときたかったけど、追加上限100までだから、これ以上は無理かー。……ほんと、残念。それを補うスキルでもあれば良いが。


 それに、ゲームのようにやり直しが効かなし、当然、死にたくない。

 だとしたら、ダメージを喰らってしまうことを前提で考え、『物防』、『魔防』に300ほど追加。あくまで気休めだ。圧倒的強者から見れば、紙防御に変わりない。


 残りのポイントは……1,310。


 勿論、攻撃力も増やす。『物攻』、『魔攻』に450ほど追加。


 残りのポイントは……410。


 残りを『体力』に200、『魔力』に210ほど追加。


 よし、これで、完了っと。


Status---------------------------------

名前:ハル・カミシナ(神志那 悠瑠)

種族:人族(♂、15歳)

階位:Lv.1


体力:150(50)(200)

魔力:210(50)(210)


物攻:130(40)(450)

物防: 70(40)(300)

魔攻:190(40)(450)

魔防:270(40)(300)


知力:150(30)(100)

技巧:230(30)(100)

俊敏:160(30)(100)

幸運: 50(20)

---------------------------------------


 うん、我ながら、悪くない……と思う。

 取り敢えず、突然、ショボい奴に殴られても死なないだろう……たぶん。そもそも殴られるのは、好きではないし苦手なので、それらを回避できる系のスキルは、是非欲しいところだ。


 「俺のステータス反映、終わったよ」


 「ハルー、手伝って」

 「参考にしたいので、ハルのを教えてもらえませんかー?」

 「ん、こっちも」


 サクラが手伝ってと言ってるが……ステータス画面、見えないけどな。コトハもか……。ヒナタが参考にしたいと言ってるので、喜んで伝える。


 「『知力』、『技巧』、『俊敏』は……追加上限100な」

 サクラが忙しく追加しているので待つ。


 「次は、『物防』、『魔防』に……300。『物攻』、『魔攻』には……450」

 ヒナタとコトハも手を動かし始めた。ん、真似るのか?まあ、それもOKだ。


 「で、『体力』に200、『魔力』に210で終わりかな」


 彼女達の作業を静かに見守る。


 「ハルー……640、余ってるよ?」

 サクラから唐突な疑問が投げかけられた。


 ……知らんがな。


 だって、俺が2,210で、サクラは2,850。俺より多いから当然、余るよ。なのに「ハルさん、ミスってますけどー」的な笑みで見つめてくる。


 俺は、ミスってないけどな。でも仕方がないから考えますよ。


 察したヒナタとコトハから、

 「ハル、私もお願いしますねー」

 「ん、こっちも」


 ま、そうなるよな。


 最初から考える必要はない。俺のを土台にして、余剰ポイントを使ってそれぞれの特徴に合わせ……ちょいっとカスタマイズするくらいで良いよね。そうしよう。


 サクラの余りは、   640。

 ヒナタの余りは、   310。

 コトハの余りは、 1,290。


 レンの道場で一緒に遊んだ時のイメージとスマホゲームでの立ち回りを考慮する。


 まずは、サクラ……攻めが好きで、直感もあるから、攻撃力重視で良いよね。


 「サクラは……『物攻』と『魔攻』に320ずつ追加かな」

 「あいあいっさー」


 次は、ヒナタ……攻め好きなのは同じだが、攻撃を捌くのが上手かったような。ポイントの残り的にもサクラの半分程度しかないので、複数に分散するよりは、一つに絞りたいところだ。攻撃に重きを置くよりは、防御かなー。


 「ヒナタは……『物防』に残りの310を追加で」

 「フフッ、了解ですわー」


 最後のコトハ……2人同様に攻め好きは変わらずで、特に被弾を気にせずガンガン攻めるからなー。


 「コトハは……『物攻』に600、『体力』と『物防』と『魔防』に230ずつ」

 「ん、わかった……ありがと」


 黙々と反映作業をしている彼女達を横目に、伝えたことを反芻しながら整理してみる。


 サクラは、

Status---------------------------------

名前:サクラ・ツキノキ(月野木 百桜)

種族:人族(♀、15歳)

階位:Lv.1


体力: 70(50)(200)

魔力:100(50)(210)


物攻: 60(40)(770)

物防: 50(40)(300)

魔攻: 90(40)(770)

魔防:130(40)(300)


知力:120(30)(100)

技巧:110(30)(100)

俊敏:100(30)(100)

幸運:130(20)

---------------------------------------


 ヒナタは、

Status---------------------------------

名前:ヒナタ・シノノメ(東雲 緋七詩)

種族:人族(♀、15歳)

階位:Lv.1


体力: 60(50)(200)

魔力: 80(50)(210)


物攻: 50(40)(450)

物防: 50(40)(610)

魔攻: 80(40)(450)

魔防:110(40)(300)


知力:130(30)(100)

技巧:130(30)(100)

俊敏:110(30)(100)

幸運: 90(20)

---------------------------------------


 コトハは、

Status---------------------------------

名前:コトハ・ハツキ(葉月 心音羽)

種族:人族(♀、15歳)

階位:Lv.1


体力: 50(50)(430)

魔力: 90(50)(210)


物攻: 70(40)(1050)

物防: 50(40)(530)

魔攻: 90(40)(450)

魔防:120(40)(530)


知力:110(30)(100)

技巧: 80(30)(100)

俊敏: 80(30)(100)

幸運:220(20)

---------------------------------------


 見事に3人共、俺より強そうなステータスに……間違いなくなるな。


 女神曰く、初期ステータスはレベルアップ時の成長補正に関わるから大事であると。だが、その成長補正は、鍛錬や戦闘経験や取得スキルなど様々な要因もあるので、それが全てではないとも言っていたが、素直に羨ましいことに……変わりない。


 「ハルー、終わったよー」

 「お待たせしましたー」

 「強さ、マシマシ……ふんすッ」

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