知っているのに知らない人(詩)

初めて出会ったのはネットの中。

たくさんの人がいる中で出会えたことは奇跡に近い。


共通の趣味から出会った人、コメントを貰って、コメントをして仲良くなった人。

話すほどに、どんどん仲良くなった。


私生活がどうかなんて、たまに書かれる些細な情報でしか知らない。

でもたくさん書いてる人なら、会ったことすらなくてもいろいろ知ってる人もいる。

もちろん、仲が良いのに私生活については全然知らない人だっている。


たまに愚痴をこぼしたり、辛い時に弱音を吐いたり。

全然姿を見なくなったり。


全然知らないのに、知っている人たち。


自分がしんどい時、暖かい言葉をかけてくれた人たち。


しんどい時のその言葉がどれだけ自分の力になってくれたか。

どれだけ支えとなってくれたか。


逃げたい時も、消えてしまいたい時だってあった。

好きだったものを追いかけられず、何も感じず、つらかった。

意味も無く涙が止まらなかった。

突然息が苦しくなった。

誰とも会いたくなかった。


どんな時でもネットを見ればみんながいた。

推しを追いかけていて自分には眩しく映る人もいた。

愚痴を吐いている人もいた。

自分と同じようにしんどい思いをしている人もいた。


そんなSNSをぼーっと眺めた。


また前のように好きなものを追いかけたいと思った。

自分も一緒に愚痴を言った。

お互い少しずつ進んでいこうと思った。


こんなに暖かい知らない人に囲まれて、自分は幸せだと思う。


だって、顔も何も知らない。

知っているのは、趣味や好きなこと、好きなもの。

もしかしたら、どこかで出会っているかもしれない。

可能性は低くとも、ゼロではない。


SNSのアカウントが消えてしまえばそれまでの関係。


それなのに数年もの付き合いがある。


何回も誕生日を祝ってもらった。

自分も何回だって誕生日を祝いたい。


これからもずっと、この繋がりは消したくないと心から思う。


いつもありがとう。

今も昔も変わらず、好きなことに全力なあなたたちが大好きです。



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短編集 玲希 @sosakusk

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