十ノ環・四大公爵会議3

「あ、ああっ、ん……ッ、あっ」

「指を締め付けてくる。指一本では足りないか」

「やっ、言わない、で、くだ……さいっ、ンンッ」


 抜き差しする指が奥まで届く。

 お腹の内側を擦られながら奥まで刺激され、腰が時折痙攣するようにびくびくと跳ねてしまう。


「あぅっ、ンッ、ああっ!」


 激しい抜き差しに容赦なく体の熱があげられていきました。

 前の性器は触られてもいないのに立ち上がり、たらたらと透明の雫を零している。

 はしたない体の反応を見られたくありません。隠そうと手を伸ばす。

 しかしその前に手を掴まれ、シーツに押さえつけられました。


「触らなくても後ろだけでいけるだろう。いってみせろ」

「そ、そんな……。いやですっ」


 首を横に振って拒否するも、ハウストは優しい面差しのまま酷いことを言うのです。


「俺を欲しがる姿が見たい。ここに挿れてとねだってみせてくれ」


 ハウストはそう言って垂れている雫をなぞり掬うと、私の後孔にまた指を挿入しました。

 抜き差しされるたびにクチュクチュと卑猥な音が響きます。

 耳を塞ぎたくなるようなそれに唇を噛み締めるも、お腹の内側を擦られるとだめです。


「ああんッ、っ、んんッ、あ、ああっ」


 慌てて唇を噛み締めても鼻から抜けるような声が漏れてしまう。

 気を抜くと甲高い声がまた漏れて、ハウストの指の動きに合わせて馬鹿みたいに腰が揺れるのです。


「まって、だめっ、ああッ、だめです、だめだめッ……!」


 激しい抜き差しに、ゾクゾクとした快感が全身に走り抜けました。

 高まる快感が限界に近づいて、足が指先までピンッと伸びる。


「ああッ! ……うぅっ、う」


 一際高い声がでて、体が猫のように仰け反りました。

 パタパタと白濁が散って、シーツを汚してしまう。

 果てた体は脱力してシーツに崩れ落ちました。

 しかしハウストが指を抜いてくれることはありません。それどころかまた激しく指を抜き差しするのです。


「まって、まってくださいっ。さっき、イッたじゃ、ないですか! や、ああんッ、んぅっ」


 弱い箇所を擦られるたびに体がびくびくと反応しました。

 逃げようとする腰を掴まれ、後孔を思うままに弄られる。

 触ることが許されない性器はまたしても張りつめて、太ももをもじもじと擦り合わせてしまいます。でもそれは甘い疼きを高めるだけ。


「もうっ、ああッ、また、わたし……ッ」

「何度でもイクといい」

「ああんッ! ぅ、あ……、はあっ、あ……」


 また白濁を散らしてしまう。

 はあはあと呼吸は乱れて、過ぎた快感の苦しさにじわりと視界が滲みます。


「ハウスト、もう、やめ……んッ」

「やめてほしそうには見えないが」


 そう言ってハウストが指を抜くと、後孔がひくひくと引くついたのが自分でも分かりました。

 まるでもっと欲しいとねだっているような反応で、自分の体が恨めしくなります。

 羞恥に唇を噛んでシーツに顔を埋める。

 そんな私をハウストは喉奥で笑うと、後孔に指を当てました。


「もう指だけでは物足りないか?」

「あ、ハウスト……、んぅ」


 入口に触れられているだけなのに、またひくひくと反応してどうしようもなくなる。

 ハウストの指が焦らすようにお尻の割れ目をなぞり、後孔の淵をくすぐるように弄ります。

 堪らない疼きに背筋がぶるりと震えました。

 悔しいけれど、欲しいのです。

 快感に従順にされた体は挿入される悦びを知っています。

 本能が期待して、腰がはしたなく揺れてしまう。


「んっ、ハウスト……」


 ぎゅっとシーツを握りしめ、羞恥に唇を噛みしめる。

 気丈でいたいのに、無意識に太ももをもじもじと擦り合わせ、お尻がゆらゆらと揺れてしまうのです。

 せめて睨んでやろうと背後から覆い被さるハウストを振り返りました。

 瞬間、息を飲む。

 だって、余裕だろうと思っていた彼の瞳が爛々として、吠えている。私を犯したいと。

 いつもは優しい鳶色の瞳が凶暴な欲を帯びて、欲しがっているのです。

 ぞくり、背筋が震えました。

 お腹の中が疼きました。早く埋めてほしいと。

 だって、きっと、あなたがこんな瞳を向けるのは私だけ。私だけしか知らない魔王の姿。

 私は熱に浮かされながら、背後のハウストに手を伸ばしました。

 後孔に触れるハウストの指をつっとなぞり、その手に指を絡めます。


「ブレイラ?」

「……黙ってください」


 様子が変わった私にハウストは少し驚いたようですが、黙って私のしたいようにさせてくれる。

 彼の手を引いて、ゆっくりとベッドに押し倒しました。

 本当なら簡単にできることではありません。彼が許してくれているからできること。でもそれって、私のことを愛しているからですね。

 私はハウストの腰に跨りました。

 お尻の下に彼の硬い昂ぶりの感触。布越しなのに熱を感じるそれ。

 その昂ぶりに背筋が甘く震えます。

 ああ、やっぱり彼は私を犯したがっている。

 私は腰に跨ったまま、彼の鋼のような筋肉で覆われた硬い腹に手を置きました。

 指で腹筋をなぞり、挑発的に見下ろしてやります。


「いじわるばかりしますね。ひどい人です」

「いじわる? 喜んでいただろ。ほら」

「あんッ、ぅ……っ」


 下から腰を突き上げられました。

 布越しとはいえ硬いものが後孔に押し付けられ、くらりっと甘い眩暈。

 でもまだダメです。流されてあげません。少しは反省すべきなのです。


「……いじわるして、ごめんなさいと言いなさい。でないと、このままです」


 熱い吐息が漏れてしまいます。

 でもゾクゾクした腰の疼きを我慢して、今度は私からハウストの硬いものにお尻を乗せてあげます。彼の上でゆらゆらと腰を揺らす。


「あなただって、早く挿れたいくせに」


 ハウストが息を飲んだのが分かりました。

 でも次の瞬間。


「お前が悪い」

「わあっ!」


 視界が引っ繰り返りました。

 またしても押し倒されたのです。

 でも今度は今までと違います。

 今までの戯れではなく、彼は獣のような爛々とした目で私を見下ろす。

 そして一秒も惜しがるような性急さで前を寛げ、硬く勃起したものを見せつけてきました。

 それは凶暴に反り返り、先端から滴り落ちる先走りは獰猛な肉食獣の鋭い牙から滴り落ちる涎のよう。

 思わず後ずさりそうになりましたが、その前に足首を掴まれて引き寄せられる。

 大きな体が覆い被さり、強引に足を開けさせられました。


「ッ! ああッ……!」


 ガツンっと体を貫くような衝撃。

 一瞬、意識が飛びそうになる。

 でも意識を強引に引き戻すような激しさでハウストに腰を打ち付けられました。


「ああっ! あっ、あっ、っ、あンッ……!」


 奥を突かれるたびに甲高い声が漏れてしまう。

 思わず這って逃げようとしましたが、肩を掴まれて押さえつけられる。


「あッ、ふか、いっ……! うぁ、あッ!」


 硬い先端が深い奥までぐりぐりと押し付けられました。

 ハウストは深々と突き刺したかと思うと、私の腰を両手で掴んで何度も抽挿を繰り返します。


「ひあああッ、アアッ! ……はげしっ、やめ、やああッ!!」


 漏れる嬌声が悲鳴に近い。

 嵐のような攻めになすがままになって、ただ夢中でハウストにしがみつくしかありません。


「まってくださ、ああッ、アッ、ンンッ!」


 ただ悲鳴のような声をあげながら、霞む視界にハウストを映します。

 彼の鳶色の瞳は欲情の色を帯びて、私だけを見つめている。私だけを貪っている。

 腰を痛いほど打ち付けられて翻弄されるまま腰をうねらせました。

 弱いところを擦られるとどうしようもなくなって、熱に浮かされたように声が漏れてしまう。


「はあッ、あ、ああッ! ハウスト、もうっ、ダメッ、わたし……!」

「……挑発した、お前が、悪いッ……」


 私を見据えるハウストの瞳が爛々として、激しく攻めながら私の所為だと言う。

 今の彼からは普段の余裕が見えなくて、少し怖いです。

 でも離れたくなくて、薄れゆく意識のなかで彼に必死にしがみ付いていました。





「ん……、ぅ」


 重い瞼を開けると、まず視界に映ったのは見慣れた厚い胸板。

 鋼のような筋肉に覆われたそこは硬そうなのに、ぴたりとくっつくと気持ちいいので不思議です。


「目が覚めたか?」

「ハウスト、私……」

「一時間ほど眠っていた」


 そう言ってハウストが私を抱きしめました。

 どうやら私は意識を失い、そのまま眠っていたようです。

 思い出して羞恥がこみあげる。赤くなる顔を隠したくて、ごそごそと身を寄せます。


「体は大丈夫か?」

「少し痛いですが、問題ありません」

「傷ついてないか?」

「……どうでしょうか、お尻が少し熱いです」

「見せてみろ」

「だ、だめですっ!」


 お尻に伸びてきた手を慌てて払いました。

 何を言い出すのかと思えば、この人はっ。

 ムッとして睨むと、ハウストは払われた手を一瞥する。


「邪念はないぞ。心から心配しただけだ」

「……あなたのことは信じていますが今は結構です」


 言い返した私に彼が眉を上げました。

 心外だとばかりの反応をする彼ですが、なんだかおかしくて私は小さく笑ってしまう。

 甘えるように擦り寄ると、ハウストはほっと安堵したようでした。

 そして彼は私を抱きしめたまま仰向けになる。

 彼の上で寝そべるような体勢です。私の素足が彼の足と絡んでくすぐったい。

 でもやっぱり気持ちよくて、彼の鍛えられた胸板に両手を置いて、頬をぺたりとくっつけました。

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