挿話・イスラ、生後十日目のある日。
オレはゆうしゃ たまごからうまれた。
きょうでうまれてから いちにち、ににち、さんにち、……えっと、とおかだ。
あしたから ハウストがオレをきたえるといっていた。
でもきょうは ブレイラとおさんぽ。
ブレイラと てをつないで もりをあるいた。
「つきましたよ。私は薬草を摘みますからイスラは遊んでてください。遠くへ行ってはいけませんよ?」
うなずくと ブレイラは「いい子ですね」と あたまをなでてくれた。
うれしい。
オレは いいこだ。
ブレイラのちかくで しろいちょうちょをおいかける。
きれいなちょうちょ。
はなからはなへ ふわふわとんで ブレイラのそばを ふわりととおりぬける。
ブレイラも ちょうちょにきがついた。
ふわっ。 ブレイラが わらった。
きれい。
ちょうちょより はなより きれい。
じっとみているとブレイラがきづいて 「どうしました?」と オレにもやさしく やさしくわらった。
ブレイラ!
オレははしって ぎゅっとだきつく。
ふわりっ。いいにおいがした。
ブレイラも オレをぎゅってした。
わらってるブレイラに うれしくなる。
オレは わすれていない。
うまれてはじめてミルクのパンをたべたとき おいしくなくて オレはすこししかたべなかった。
するとブレイラは こまったように さびしそうに でも やさしくわらった。
「おいしくなかったんですね、ごめんなさい」
やさしくわらってるのに どうしてか オレのおなかがぎゅってなった。
つぎのひ ブレイラは たくさんたべものをかってきた。
たくさんおいしいのを つくってくれた。
おいしくて オレはたくさんたべた。
ブレイラは うれしそうだった。
もぐもぐするオレを うれしそうにみていた。
オレもうれしくて たくさんたべた。
だって ブレイラがわらっていたから。
きれいにわらっていたから わらってるのを いっぱいみたいから だからいっぱいたべた。
おいしいの うれしい。
ブレイラがわらっているの うれしい。
ミルクのパンのときも たべればよかった。
もうミルクのパンはつくらなくなったけど こんどは のこさずたべる。
こんどは おいしいっていう。
そしたら きれいに わらってくれるかな。
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