第二章
第12話 やまと
「何言ってんの、おにいちゃ…」
「もう 、その呼び方はさせないって言っただろ。」
美希の両腕を握る力が増した。
「お兄ちゃん!!痛いって!!
ごめんなさい!なんて呼べばいいの!!」
「………やまと。って呼んでよ…。」
「やまと。離してよ…!
ねぇ。やまと!!痛いから!」
美希が泣き出してしまった。
そこで僕はやっと正気に戻った。
「…あ。ごめんね。力強かったね。」
そう言って僕は美希の腕を離した。
美希は心底怯えていた。俯いてぷるぷる震えたまま何も言わない。
「怖がらせてごめん。」
「そんな怒ってるおにいちゃ…やまと、初めて見た。なんでキスなんか…。」
「それはこっちのセリフだよ。」
なんでほかの男とキスなんてするんだよ。
とはさすがに言えなかった。
美希は僕がなんで怒っているのか、よく分かっていないのだろう。
「今日から僕はもう、美希のお兄ちゃんじゃないからね。」
そう言って、額に軽いキスを落としてから
僕は自分の部屋に引っ込んだ。
美希は顔を赤くしながら呆然としていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます