第9話 Miss
…しまった。
一生誰にも言うつもりなんかなかったのに。
本当に兄妹とわかった以上、俺が美希を愛する権利なんかにのに。
「…おいおいおい。
告白なら本人にしてやれよ!」
「は?」
「俺にしたって意味ねぇだろ!!」
「いや。」
「まぁ確かに?美希ちゃんちょっと俺に似てたけどかもだけどなぁ。」
「あぁ。確かに目元似てるかも…って
そうじゃなくて!
俺今、実の妹を好きだって言ったんだぜ?
…引かねぇの?」
「……そりゃあな。
俺だってなんとも思ってねぇわけないよ。
けど…
今は何を言ったってお前を傷つけかねないだろ。だから何も言わない。」
「直井…。」
俺の目からは自然に涙が出ていた。
「お前が死なけりゃそれでいいよ。俺は。」
「なおい…。お前………大好きだよ!!」
「ははは。そりゃどうも。
ほら。もう。泣きやめって。
こんな所で男子大学生が泣いてんじゃ
俺が恥ずかしいだろ。」
「ごめん。もうちょっとだけ。」
「……いいよ。幾らでも待ってやるさ。」
感情がぐちゃぐちゃだった。
今日1日だけで色んなことがあった。
でも直井は俺の背中をずっと擦りながら
いつまでもあたたかい言葉をかけてくれた。
美希とよく似た目でずっと微笑みながら。
この微笑みの意味にさえ気づいていれば、
今の俺らの関係はもっと違っただろうに
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