第8話 like you
直井は俺から何があったのかを、無理に聞き出そうとはしなかった。そりゃあんな事したら誰だって聞きづらいだろうけど。
少しづつ冷静になってきて、彼への申し訳なさがでてきた。俺がそんなことを考えてる間も直井は他愛もない話をしてくれた。
「お前さ、誰にもどうにもできないことがあったって言ってたろ。」
「う、うん。」
急に話が変わってびっくりした。
「俺、ちょーとだけ考えてみたんだけどさ、やっぱりよくわかんなかった。
例えばさ、まぁこれは昔の友達の話なんだけどな。」
そう言ってから直井は話し始めた。
「めっちゃ仲良い女友達が居たんだよ。
で、そいつが婚約者だって連れてきたのが女だったんだ。」
「…え」
俺は思わず声をもらした。
「俺もびっくりしたよ。
でも2人はただ普通に男女のソレと変わんなかったよ。ただ好きになった人が偶々同性だったんだろうなーって感じよ。」
同性同士の恋愛は、正直俺にはよくわからなかった。
でも、なんとなく自分と似たようなものを感じた。
「それでも婚約って、日本じゃ同性での結婚はできないんじゃ…。」
「あぁ。彼女はそれ俺に相談してくれたんだよ。俺カナダに親戚いてさ、カナダで同性婚できるのも知ってたから。移住権とかはどうしたのか知らないけど。…まぁとにかく…。何は言いたいかと言うと…
気が向いたら俺に話してみろよってこったな。」
言うと直井は俺の目を見てにかっと笑った。
その顔はなんだか美希と重なるものがあって、気づいたら口に出していた。
「俺、美希のことが好きだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます