第7話 直井

「おい!山本!!!

何してんだよ!危ねぇだろ!」

川に入ろうとした僕を寸でのところ引き止めたのは

「…なおい?」

友人の直井だった。

「あぁそうだ直井だよ。

お前、こんな状態の川に身乗り出して、

万が一落ちでもしたら

…一溜りもないぞ。」

「………。」


直井も鈍くはない。

俺が訳もなく、

こんなところで雨に打たれているわけでないのは恐らくわかっている。


「なんでそんなことするんだよ……。」

直井からの率直な疑問だった。

「分からない…けど

なんか…誰にもどうにも出来ないことってあるじゃん。」

「あるのかもしれんな。俺にはまだわからんが。」

「そういうときどうしていいのか分からなくて…気づいたら。」

「何があったのか俺に話せよ。

とりあえず近くの喫茶店にでも、」

僕はまた身を乗り出した。

「おい!なんでそうなるんだよ!」

「話すくらいなら死ぬ。」

「待て待て待て!話さなくていい!!!

一緒に茶飲もう!!!それでいいから。」

そう言って直井は俺を近くの喫茶店に連れて行った。

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