第4話 母親役

「ただいま。」


「おかえりお兄ちゃん。」

家に帰ると美希が出迎えてくれた。

そして、僕がソファにどかっと座ると、

母さんが台所の奥から出てきて、こう切り出した。

「…ねぇ。大和。」

「なに?母さん。」

「春から美希と二人暮らししたいって

ホント?」

「ほんとだよ。

美希からそう言ってくれたんだから。」

「そうだよー。私から言ったの!」

「二人きりで大丈夫?」

「母さん…僕はもう21だよ。」

「美希ももうすぐ大学生だよ。」

「……そうなんけどね。」

母さんは腑に落ちないような、バツが悪いようなよく分からない顔をしていた。

「母さんあんまり心配しないで。」

「そうね。お父さんには私から話しておくわ。今から部屋探ししないとね。」


諸々の準備は僕が全部やってみせる。


だって美希と2人で暮らすのを

もう何年も夢見てんたから。

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