第3話 本能か煩悩か
今日僕は、
医者の元に、DNA鑑定を依頼しに行く。
兄弟という重い重い鎖から開放される為に。
僕と美希の血縁関係を否定するんだ。
もちろん戸籍上兄妹であることには変わらないけど、
僕が彼女を愛する正当な理由ができる。
僕と美希は本当の兄弟ではない。
なぜだかそんな確信が僕にはあった。
小さい頃は何故か別々に住んでいたらしいし。
それに親族の異性には
思春期にそれなりの嫌悪感を抱くらしい。
これは近親相姦を避ける、人間の本能的な感覚だそうだ。
いわゆる高校生の娘が「お父さんのと一緒に洗濯物回さないで!」ってやつだ。
でも僕は、彼女に嫌悪感を抱いたことなんてただの1度もない。
それどころか僕はずっと美希のことを女の子としてしか見ていない。
美希も多分そうなんだと思う。
物心ついた時にはもう、
彼女を特別な女の子として接していた。
そして、そういう感情を表に出してはいけないのも、何となく分かっていた。
ねぇ。美希。
「私が大学生になったら、二人暮らししよう」
ってきみが提案してくれたとき
僕、本当に嬉しかったんだ。
待っててね。あと数週間だけの辛抱だよ。
思えばこの数週間が僕にとって普通に暮らせた、
最期の日々だったんだと思う。
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