その10

アレク「そうだ。彼が首吊りで亡くなっていたのを他の教師から聞いたよな?」


エリック「ええ。そうだと聞きました。」


アレク「俺はその時の雰囲気に妙な違和感を覚えたんだ。速やかに葬儀後までやり過ぎだった。俺はこの辺がおかしいと思ったんだ。それだから俺はその辺の雰囲気を伺ってみた。」


アレク「すると彼が死んだ後に、意味が分からない名前の存在がボグダンの遺体を葬儀したという様な雰囲気だったんた。」


エリック「それって」


アレク「あぁ。エリックなら分かるか?」


エリック「ええ。おかしいくらいにすんなりとしていたのですね?」


アレク「そうだ。おかしなくらいにすんなりと。」


エリック「それ」


アレク「エリックならそのうち分かりそうだ。ところでその意味不明な存在の名前なのだが、お前たちはその名前を彼から聞いたのだろう」


そう言ってアレクさんは向こうにある、おっちゃんの遺体を目線で示す


そうだ。そうなんだが


アレク「その時に言われたその名前、聞き取れなかっただろう?」


あっ


スザナ「何だか、耳にお砂が入ったような感じでよく聞こえなかったの.....」


アレク「やはりか。それはな、その存在が聞こえなくしたんだ。個人情報だから困ったのだろうな。そして、その名前を言おうとした彼を殺したんだ。」


スザナ「............!」


怖い存在だ


アレク「俺のことは恐らく今回のフーズメンバーを知った時から知っていた。そしてだ。」


アレクさんは懐からお菓子の入れ物を取り出した。「これは酒が入ったチョコレートだ。お前たちには食べさせられない。」と言ってお酒入りのチョコレートを口に入れて食べた


アレク「教員達は、その存在に思考を取られていたようだった。」


エリック「.............」


アレク「どうやらエリックは既に理解をしているようだなー。」


トドル「えっ?どういうことなんだろう。」


アレク「俺の口から言うのは爆弾になりそうだから気が引ける。エリック。お前が言え。」


エリック「はい。なあ、あのさ....。前の事のあの後、おかしいと思わなかったか?フーズに行こうとしていたその日の深夜に突然知らせで「フーズ閉鎖中」とだけあって、何の詳細も無くて。」


トドル「あ、それ。確かに何の脈絡もなく急に閉鎖したよなーって思ってたなー。まあ、あの後だから仕方ないのかもなって思ったよ。」


ガヴロ「そうだよ。それが、どうかしたの」


エリック「普通、その場合は、教師達は自分らの名前付きでその事情を説明するのが最低限のマナーだと思うだろう?それが、たったあれだけの言葉なんて。どう考えてもおかしいだろう?アレクさんが休みということだと教えてくれたから理解できたものの。」


ドラゴス「あれ?」


そういえば何か変だなあ.....


焦って書いたような感じの知らせだったな......


エリック「何でそういう感じの知らせだったと思う?」


トドル「何かを隠してるとか?」


エリック「御名答。そうかもしれないんだ。」


トドル「えぇ!まじかよ。何を隠してるんだろ」


エリック「それだ。」


トドル「えっ!?」


エリック「それが問題となっているんだ。にいちゃんが死んだのを知ったのはアレクさんからの教えを知る前に、何も分からずにフーズへ着いた時にその時にいた教員から教えられてだ。「にいちゃんは死んだよ。首吊りだ。さあ、帰った帰った」って追い出すような感じで俺たちを帰らせたじゃないか。」


スザナ「その時に偶然に近くで出会えたアレクさんから休みだと聞いたのよね。」


エリック「そう。」


アレク「フーズが怪しくてな。調べ回っていた。ボグダンが死んだのと、休みであるというのを明確に説明していなかったフーズは悪いもの確定。」


エリック「そのとうり。で、なんでそれを隠していたのかというと、それはあの意味不明な名前の存在が関わっているからだ。」


トドル「あのおっちゃんが言っていた人だろ?そうなのか」


エリック「あぁ。アレクさんの説明で教員達は頭の中を操られているっていう説明は覚えているよな」


トドル「あぁ。」


エリック「その教員達は「にいちゃんが死んだ」と言わされたんだ。」


その瞬間、俺たちの体に戦慄が走った


ドラゴス「.........トドル。いくら鈍感なお前でもこの意味は分かるよな?」


トドル「あぁ。まさか......」


スザナは目を大きく見開いている


ガヴロもだ


エリック「さあ言ってごらん。この意味を。」


ドラゴス「まさか、にいちゃんが、生きているかもしれなくて、死亡は嘘かもしれないってことか......?」


エリック「そういうことだ。」


アレク「可能性の話だがな」

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