その5

エリック「複数だ。」


トドル「ふっ.....」


なんてこった


ドラゴス「複数!?あんな気色悪いのがか?」


エリック「そうだ。」


スザナ「うーー。怖いの。」


エリック「君はそれでこそスザナだね。」


ドラゴス「それ、何か引っ掛かるぜ。おっちゃんの説明によると、俺から離れてトドルへって.....。え。まさか。」


エリック「そうだ。その時はその場に偶然一人だけだったかもしれない。そして恐らくトドルのことも「見つけた」んだ。」


ドラゴスの顔がみるみる青くなっていく


トドル「えっと、どういうことだ?」


ドラゴス「分からないのか、トドル。あいつが俺からトドルに移ったらしいあの時な、まだ複数でも少数だったかも知れなかったんだ。それが、今では無数に増えているかもしれないんだ!」


トドル「なっ なん だと 無数に」


エリック「そういうことだ。恐らくやつらは人工ヒューマン。増えることもできる。」


目の前が反転しそうだった


気持ち悪いな


スザナ「ねえ、何のために、私たちを、保護するの.....?」


エリック「分からないんだ。それは。今のところは。」


スザナ「........」


トドル「そういえば、スザナはどうやって俺が乗り物に乗ってるってわかったんだ?」


スザナ「何気に見ちゃったの.....。トドルたちとおじちゃんが乗り物に乗っていて、その後ろからあの人が追いかけているのを....。見てもいられなくなって、トドルにメッセージをしたの。その時の私は〇〇〇に居たので、そこで合流したかったの。メッセージを送ったら、急に目の前にあの白い人が現れて、捕まっちゃったの。」


エリック「一つ聞きたいんだが、スザナ。君は何故〇〇〇にいたんだい?」


スザナ「えっ!?何となく、やっていないお店みたいで入って遊んでも良いかなって。」


エリック「そうか。そこには暫くは行くな。」


スザナ「えっ!どうして?誰も居なかったのよ?潰れているお店よ?あの白い人がまた、くるの....?」


エリック「今の君にはまだ早い所だからだ。あそこは元、ラブホだったところだ。」


トドル「ラブホ?」


ドラゴス「って何だったかな」


エリック「いいや。独り言だ。何も言ってない。気にするな。」


エリックは口を手でふさいだ


エリック「これからガヴロもここに着く頃だろうから、迎えに出る事にする。」


トドル「俺たちも行くかな?」


エリック「いいや。お前たちは来るな。やつらがいるかもしれないからな。」


トドル「さっき気にしない方が良いって言っていたじゃないかー。」


エリック「あれは口論だ。」


トドル「さーてそれはどうかなー。俺たちはあの時のエリックの雰囲気がどう見ても凛々しい意見そのものだったからな。俺たちも行くに決まってるだろ。なー、ドラゴス。」


ドラゴス「おうよっ。」


ドラゴスは笑顔で応える


エリック「そうか。それなら、好きにしろ。後で後悔するだろうがな。」


トドル「しないさ。」


俺たちは建物のエントランスまで行くと、扉が開いてガヴロが走ってやってきた


ガヴロ「あ!みんなー!」


エリック「ガヴロ!よくここまで来れた。キツかっただろう。」


ガヴロ「あぁ。怖かったよ。みんなと出会えて良かった!」


エリックはガヴロの頭を撫でた


トドル「なあ、あの白人間とは遭遇しなかったか?」


ガヴロ「あー、そういえば、それを俺も思っていたのだけどね、何との出会わなかったし、見なかったんだ。」


エリック「何だと」


ガヴロ「うん。そうだけど、どうかしたの?」


トドル「いなかった」


ドラゴス「そんなはずは」


トドル「嘘は言ってないよな?」


ガヴロ「うん。言う訳無いじゃないか....。」


エリック「少し外に出てくる。お前たちは一歩も出るな。」


エリックは玄関に出て、周りを見渡した


そして戻ってきた


エリック「おかしい。どういうことだ」


エリックが難しい表情をしている


エリック「何故、何もいないんだ」


トドル「マジかよ。どういうことなんだ」


エリック「俺のセリフだがな。それ。」


エリックは考え込んだ


ドラゴス「俺たちがどこだか分からないんじゃね」


エリック「そうな筈は無い。奴らは俺たちを知っている。先程走行していた時にもわかっていた筈だ。........待てよ?」


エリックは何かを思いついた顔をした


エリック「そもそも、俺が〇〇〇に行く時も、そうだったな。何も、見なかった。なあ、トドル達も、スザナ達に会いに行く時も何も見ていなかったか?」


トドル「おうよ。見ていなかったぜ。」


ドラゴス「確かに見ていなかったな....。」


エリック「どういう事だ。俺の増えているという考えは間違っていたのだろうか......」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る