第40話
数刻前―――sideルカ
「あれっ今のってオズだよね? 村の外に向かってたみたいだけど、どうしたのかな?」
僕がオズの姿を見かけたのは村はずれでの事だった。急いだ様子で村の外へと出て行ったオズの姿に何故か胸騒ぎを覚えて僕は少し悩んだ末に追ってみることにした。
「あれ? ルカちゃんどこに行くんですか?」
「オズを見かけたんだけど、ちょっと様子がおかしかったから後を追ってみるね!! この荷物持って帰っててもらってもいいかな?」
「それは良いですけど…ご主人の様子がおかしいですか?」
悪いとは思ったのだけど一緒にいたアリアちゃんに持っていた荷物をお願いしてオズが走り去っていた方向へと駆け出した。
村の外まで来たところで周囲を見渡すと森の奥へと向かっている後ろ姿が見えた。
その後ろ姿を追いながら向かっている方角になにかあったかと考えてみるけど特に何も思い当たらない。僕の記憶ではこの先はただひたすらに森が続くばかりのはずだ。本当にどこに向かっているんだろう?
最初に開いた距離はなかなか詰めることができず何とか引き離されないでいるのが精いっぱいだった。
声をかけようにもこれくらい距離が離れていてはとてもじゃないが届かない。ついには息を切らして立ち止まってしまう。
「はあ…はあ…ってあれ?」
視線を下に落として呼吸を整えて顔をあげると先ほどまで見えていたはずのオズの姿が忽然と消えてしまっていた。よく目を凝らしてもその姿は見つからない。目を反らしたのは一瞬のことだったのにその間に見失ってしまったみたい。
それはまるで手品で物が消えてなくなるように、そこまで考えたところである可能性が頭に浮かんだ。
「もしかして魔法を使ったのかな…それだと僕じゃどうしようもないよ」
先ほどの胸騒ぎが気になるけど追いかけることは諦めるしか無さそうだ。
一つのため息をついたあとに村へと戻るために後ろへ振りかえったーーーのだけどその場で固まり動けなってしまう。
何故ならーーー
「あれ? ここってどこ? 村の方向ってどっち?」
どうやらオズを追うことに集中するばかりに方角を見失ってしまっていたのだ。
空を見上げてみるが生憎の曇り空で太陽の位置も分からず、木々が立ち並ぶ森のなかでは目印になるのを探すのもままならない。
「・・・迷子だよね、これ」
どう考えても完全な迷子だった。
◆ ◆ ◆
「こっちで良いんだよね…誰かいるといいなぁ」
あれから数分後、僕はあるものをみつけてそれを目印に森のなかを進んでいた。
「これって足跡だよね、つまりこの足跡を辿っていけば誰かにあえる‼…ハズだよね」
僕が見つけたのは人の足跡。人数は二人分だと思う、誰のものかは分からないけどこの先に人がいるのは間違いない。
途中休憩しながら歩き続けることしばらく、僕の耳に人の騒ぎ声が聞こえてきた。どうやら人がいる場所までようやく来れたようだ。
その事に少し安堵しながら、助けを求めようと声をかけるようと歩きだす。
「追いかける!絶対に逃がさない」
「へい」
しかしその途中に騒ぎ声に剣呑な雰囲気が含まれているのに気づき思わず立ち止まってしまった。
さらに、僕のいる方向へと数人の足音が近づいてきたのに気がつきとっさに近く茂みに身を隠した。
隠れたまま様子を伺うとそこに現れたのは三人の男の人を引き連れた一人の少女だった。苛立っているのか眉間に皺を寄せている。
「どっちに行けば良いんですかい?」
「右の方のはず、さっさといく‼」
年齢は僕とそう変わらないようにみえる。そんな少女が見るからに荒くれ者と思われる男の人達を怒鳴り指示しているのを見て驚きを感じてしまう。
その少女達があっという間に走りさった後に恐る恐る茂みから出る。少女達がやって来た方向に煙が上がっているのがみえた。
誰かがいるのは確かだけど、間違いなくあの彼らの仲間だろう。進むべきかもどるべきか迷った末に意を決して行ってみる事を決めた。他に道しるべになるようなものが見つかるとは思えなかったからだ。
それから数分後に天幕らしき物を見つけた僕はは警戒しながら近づいてみることに。そしてその入口らしき場所に見張りらしき人がいるのが目に入り慌ててまた木の陰に隠れた。
その見張りも先ほど見かけた彼らと同じように荒くれ者としか見えない。手には槍らしき物もみえる。見るからに真っ当でない者達の陣地だということに気がつき思わずため息をついてしまう。
このまま宛もなくさ迷うか危険性を覚悟した上で目の前にいる相手に声をかけるのかを天秤にかけているうち入口の辺りに変化が起きた。
「しっかり見張りをしているか?」
「へっ? だ、団長?副団長も? お疲れ様です‼」
いつの間にか陣地の中から見るからに屈強な体をもつ大男と長身で細身の若い男性が現れていた。
先ほどまでだらけた様子だった見張りはピンと背筋を伸ばして姿勢を正す。見るからに冷や汗をかいているように見える。
「だらけるのもほどほどにな」
「へい」
二人組は見張りに軽い注意だけしてをするとこちらに少し歩いてくると足を止めた。その距離感に緊張がはしる。
「どっちにいったかは…まあわかるか。それで何があった?」
「はい、お嬢…いえサシャ様がですね、突然大声をあげたと思ったら何かを追うように外に出てかれまして」
「何を追っていたかは分かるか?」
「私は見なかったんですが話では黒い小さな小動物だったみたいです」
「!?」
話を密かに聞いていた僕だったけどその話には思わず声をあげそうになった。
この距離で声をあげてしまえば間違いなく見つかってしまう。なんとかギリギリで言葉を飲み込んだ。
黒い小動物なんて心あたりは一つしかない。十中八九、オズのことだろう。
「ははっ黒い小動物か? なるほど」
「団長? 知っているのですかその小動物とやらのことを」
突然笑いだしたのは大男。もう1人の長身の男性が突然に笑いだした大男(団長らしい)に疑問を投げ掛ける。
その質問は僕も気になる。この反応の限り何かあったのじゃないかと若干あせる。聞き逃さないようにと聞き耳をたてた。
「ん? まあ見かけただけなんだがな。あれを追っているのか、ただサシャの奴じゃ捕まえるのは難しいだろ。そうだなよし、クランお前も追いかけろ」
「私もですか」
「おう、まあお前が行ったとしても捕まえらるかは微妙だろうが、もしも捕まえられたならそれはそれで面白いからな」
話を聞いていた僕の焦りはさらに大きくなる。、大男、団長は見かけただけのようだが、先ほどの集団が追っていたのはやはりBの事のようだ。しかも追われている?
僕は居ても立ってもいられなくなり自分に何が出来るかな分からなかったが兎に角あとを追おうと茂みから離れようとするーーしかし。
「分かりました、ご命令とあれば私も追いかけます。ただそこに隠れている者はどうしますか?」
その言葉が聞こえてきたと同時には僕は固まった。気がつけば二人分の視線が確かに自分の方を射ぬいている。なにかされたわけではないがそのプレッシャーだけで身動きがとれず緊張とともに汗が流れ出る。
「そっちは俺がやっとく、お前はサシャを追え」
「了解しました」
1人分の視線による重圧が消えて去っていったのが分かったがそれでも体は動かない。そんな中で大男が近づいてきたのが気配で分かった。
「さてと。ああ言った手前このまま無視はできないのでな。まあ気配も消せてないし素人だとは思うが、さて隠れてるのは分かっている出てこい」
その言葉に逃げるのを諦める、震える体を押さえつけてゆっくりと茂みの中から姿をみせた。
現れた僕を目に止めた大男は少し驚いたように目を丸くした。
「…なんだガキじゃないか。お前さんなんでこんな場所にいるんだ?」
どうやら僕がまだ子供だと知ったせいなのか先ほどのまでのプレッシャーが少し弱くなった。 少し躊躇いながらも勇気を出して口を開く。
「えっと…じつは森の中で迷子になっちゃいまして…」
「迷子だと? 何の用で凝んな森深くまで…お前ひとりなのか?」
「はい、ちょっと知り合いを追いかけてたんですが見失ってしまって…」
「知り合い?」
「えっと黒い小動物なんですけど…ってあっ」
言葉を交わすうちに思いのほか優しげな男の言葉に気が緩んだのか、オズのことまで話してしまった。思わず口を押えるがすでに遅い。なんと反応されるかと身構えるが中々反応がない。恐る恐る顔を上げると、大男は何やら肩を震わせている。
「――――っくく、あっははっ」
そして突然笑い出した男に驚き思わず仰け反ってしまった。笑うだけで何か行動を起こすことはなくとりあえず危険なことにはならないようなので少し安堵する。恐る恐る笑い続ける男へと声をかける。
「あのっさっきも笑ってましたけどオズのこと知ってるんですか?」
「ん? そうかアレはオズというのか。知ってるって関係ではないな、先ほど一瞬見かけただけよ」
「…それじゃあ何でそんな反応を」
男の答えに思わずは首を傾げてしまう。そして浮かんだ疑問をそのまま投げかけたーーすると男の視線が鋭くなり再びの重圧が僕を襲う。
「何故かっていえば一目でアイツがただ者ではないと感じたからだよ。今までの経験で培われた勘がここまでの警鐘を鳴らしたのは初めてだったよ。それこそ手出しをしたくないと思ったレベルでな」
言葉の最後の方は少し震えるような声音になっていた。僕はただ唾を飲み込んで聞いていることしか出来ない。
「それでだ、嬢ちゃんよ逆に聞きたい奴は一体何者なんだ?」
「Bは、僕の命の恩人で…」
曖昧な答えなど許さないという雰囲気のその質問に今一度心の中で自問自答するーー
Bは僕が聖域で出会った不思議な存在だ。動物の姿なのに人の言葉を話しとてつもない魔法を使う。その魔法で何度も助けられた、ずっと一緒にいて今では家族のような親友のような存在になっていた。
ーーーでもBが何者かと聞かれたときに何も答えることが出来なかった。
そのことに少なくない衝撃を受けていた。自分はオズのことを何も知らないことに気づいたから。
「ん、もういい」
言葉を無くした僕を見ていた男はそう言うと威圧感を消しす。威圧が無くなっても僕は呆然としたまま動けない。
「とりあえずアレの件はもういい、お前は森の外まで送ってやろう」
「えっ?」
呆然としていた僕も男の言葉の意味を理解すると思わず声をあげてしまった。
「何故って顔をしてるな。俺は奴と敵対したくはないのでな、君に危害を加えるのは危険そうだ。 …それにアレと同じ年頃の娘を手にかけるのは俺にはもう無理そうだからな」
その言葉の後半は小さくて聞き取れない。
ぐぅー
そのとき安心したせいか腹の音が鳴ってしまう。恥ずかしい・・・顔がサッと赤くなるのが分かる。
それに男は大笑いしはじめた。
「まあ何だ、飯食ってから行くか?」
散々笑った後のその男の言葉に恨めしそうな視線を向けながらも迷った末に僕は頷いた。
「あれ団長、その娘は誰なんですか? もしかして隠し子とか?」
「サシャ一人でさえ十分手に余ってんだ、馬鹿なことをいうな。この子は俺のお客人だよ」
僕は大男に連れられて陣地の中へと入っていた。すれ違う人に色々な声をかけられながら進む内に知ったことが数点。
一つはこの集団が盗賊団であること。これは陣に入ったときにデカでかと掲げられていた旗らしき物で知った。
二つ、この集団のトップが目の前を歩く大男であること。これはすれ違う人との会話で気がついた。
三つ、自分がかなりの注目を浴びてしまってること。値踏みするかのような何本もの視線が突き刺さってくる。それに気づかないほど鈍感ではいられなかった。
先ほどの以上の緊張に段々と動きは固くぎこちなくなってしまっていた。
それに気がついたのか前を歩いていた大男、団長がニヤっとしたかと思えば声をかけてくる。
「どうした、動きがおかしくなってるぞ」
「いえ、だ、大丈夫です」
口ではそう言いながらも先行きに対する不安から声は震えてしまっていた。何しろ今の状況は狼の群れに放りこまれた羊のようなものなのだ。群れの主である目の前の男の言葉一つで如何様にでも転んでしまう。口を開くにも緊張してしまう。
「そう緊張するな、確かに俺は悪人かも知れないがさっき言ったことを違えるつもりはないさ。っと着いたなここは俺の部屋だ今食べ物を運んでくるはずだからその辺に座っておけ」
会話をしてるうちに到着したのは天幕の中で区切られた一つの部屋、入って正面には大きなデスクが置かれている。そのデスクにドカッと座った男に促されて近くにあった椅子へと座る。
「さてと、まだ名乗ってなかったな俺の名はガロン。この盗賊団の首領をしている。お前の名前は?」
悪人だと言う相手に正直に名前を教えて良いものか迷いはしたが相手に先に名乗られては黙るわけにはいかない、せめて名前くらいは堂々と名乗ろうと声を張る。
「ルカ―――僕の名前はルカだよ!」
その名乗りが気に入ったのかガロンは満足そうに頷いている。
「お待たせしました」
と、そこへ一人の女性がやってきた。その手には何やら湯気の漂う器を持っている。
そしてガロンに一度目を向けると足を止めてほくそ笑んだ。
「あら団長、随分と機嫌がよさそうですね。それで団長の隠し子はどちらに?」
「それはデマだ、お前は分かっててやってるな?」
「前例がありますからね、いらっしゃいませ可愛らしいお客さま。こんなものしかありませんけど召し上がれ」
その女性はガロンに軽口を叩きながら僕の前に器を置いた。中には野菜の入ったスープらしきものが入っている。
このまま素直に食べて良いものか迷っていたのだがその匂いにつられて小さくお腹がなった。
恥ずかしい・・・僕がが赤くなっていると女性はクスッと笑い言葉を続けてきた。
「ずいぶんと腹ペコだったのね、迷っているようだけど毒なんて入ってないから安心なさい」
その言葉を受けておずおずとスープに手を伸ばす。一口、特に変な味は無く、それどころかとても美味しいスープだった。スープが体に染み渡る。それからは空腹を満たすかのようにそのスープを一気に飲んでしまった。
その様子を眺めていたガロンだったが、視線を外すと女性に小声で話しかけた。
「すまんなノーマ。飲んでいたところを」
「いつものことですから気になさらず」
後から知ったのだけどこのノーマという女性は団の中でも古参にあたり、ガロンを支える副官的な立場の女性だったらしい。
「それで本当に隠し子とかじゃないんですよね?」
チラッと僕を見たノーマはそんな確認を口にした。それに対してガロンは苦笑気味だ。
「そんなわけが無いだろうが、俺の娘はサシャただ1人だけだ」
「そういえばあの子はサシャと同じくらいの年頃ですかね…もしかしてそれで肩入れしちゃてるんですか?」
ハッとしたノーマがそんな質問を投げ掛けるが、それに対するガロンは無言。否定も肯定もしないというのはそういう事なんだろう。
「はぁサシャが見たら嫉妬しそうですね。他の娘を気にかけるほどならもっとあのこに構ってあげれば良いのに」
続けられたため息混じりのその言葉にもガロンは無言だった。ノーマはその追求を諦めると、別な話を口にする。
「はあ、もういいわ。貴方は昔から変わらない…いえ甘くはなったのかしらね。それで例の件は本当にやるのね」
「ああ勿論だ。計画に変わりはない、村につき次第に…な」
先ほどの質問とは違って直ぐにガロンは反応を返した。双方ともに声が真剣なものへと変わっている。
「若い団員に不穏な動きがあるのは知ってるわよね?」
「クランから聞いている、だが変更はない」
「そう、だったら私が言うことはないわ」
意志が変わらない事ことを再度確認したノーマは話を切り上げようとする。
「あの…」
先ほどのはなし聞き逃せないことを言っていた。不安に急かされるように気がつけば僕は話に割り込んでいた。
「あの…一つ訊いてもいいですか?」
恐る恐る僕が話しかけると二人の視線が突き刺さってくる。それに若干怯みそうになりながらも何とか言葉を続ける。
「貴方達はどこに向かっているんですか?」
「ん?」
二人が会話している間、ピリピリとした雰囲気を感じ取った僕は話には割り込まないように黙々とスープを飲んでいたのだが、ふと聞こえてきた言葉に思わず口を出さずにはいられなかった。
「今、村に向かっているって聞こえましたが、具体的にどこの村に向かっているのですか?」
「えっとここから南東方向にある…確かウェスタ村だったかしら」
一瞬顔をしかめたガロンに代わりその質問に答えたのはノーマだった。その答えを聞いた瞬間に僕は目の前が真っ暗になりそうになる。
ウェスタ村とは僕が住んでいる村の名前である。この場所から一番近い村がカンナ村であったことから嫌な予感がしていたのだがそれが見事に的中してしまったみたいで。
「おい、ノーマ」
「ガロン、目の前で話をしといて今さらじゃないの。それにどうせすぐに分かることじゃない。この娘、ここら辺で迷子になってたなら間違いなくあの村の子供でしょ」
睨みつけるような視線とともにかけられた言葉にノーマは悪びれず答えた。
そして始まったにらみ合い。
僕はその隙にこっそりと部屋から抜け出そうと動き出す。
「はい、どこに行くつもりなのかな」
だがノーマの横を通り抜けようとした瞬間に振り向いた彼女に抱きつかれて動きを封じられてしまった。
「放して‼ 放してよ!」
「ちょっと危ないってば」
それでも何とか抜け出そうと暴れるが抜け出せない。そのうちに無言のガロンが視界に入る。イライラが爆発はした僕は怒りのままに怒鳴り散らした。
「僕を無事に帰してくれるって約束したのに‼ 村を襲うなら意味が無いじゃないか!」
相手が盗賊の首領であることも忘れて泣き喚く。それに今まで黙ったままだったガロンが口を開く。
「…黙れ小娘」
「‼ …いや黙らないよ。だって僕の村の事だもの」
その威圧を感じさせる低い声に怯みそうになるけどグッと歯を食い縛る。
「どんな手段を使ってでも邪魔するんだから‼」
そして喚くのをやめてハッキリとした口調で言い切ってやる。その言葉にガロンは眉をしかめる。
そのあと、どちらも黙りこみ視線だけがぶつかっていた。
「はいはい、どちらもストップ」
その静寂を破ったのはノーマだった。僕が大人しくなったので今は拘束を緩めている。
「はい、逃げ出さない。心配しなくても村に被害は出ないから安心なさい」
「…え? それはどういう意味ですか?」
この隙にと逃げ出そうしていた僕は腕を掴まれて止められる。そして告げられた言葉にポカンとしてしまう。
盗賊団が向かうというのに被害が出ないなんてありえない。訝しげに思いながらも聞き返した。
「まあ説明がなければ納得は出来ないわよね。ちょっと待って。ガロン、話しても良いわよね? 今ここで騒がれて計画が狂うのは困るでしょ。それに無事に帰すって約束しちゃったみたいだし」
ノーマは僕へと一言断るとガロンの方へ向き直った。ノーマから声をかけられたガロンはその言葉に苦虫を噛み潰したような顔をしながらも頷いた。
「さてと、了解も取れたことだし説明をしましょうか。最初に言っておくけどこれは秘密のお話を仕方なく話すのだから誰にも話してはだめよ、話したら本当に消さなくてはならなくなるからね」
その脅しの入った言葉にコクコクと首を縦に振る。最後に「どうする?」と確認されるがもはや僕に聞かないという選択肢はなかった。
「お願いします」
その答えを聞くとノーマは静かに話始める。
「まあ今さら退くわけがないか。なぜ貴女の村が無事なのか、それはね」
―――それは僕が想像もしてなかったもので…。
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