第11話 約束が破られる時間(とき)
「ここか?」
「ああ。でも今はどうか知らねーよ。噂で聞いただけだし」
「例えそうだとしても大丈夫っしょ?」
数日後の放課後――――
「あっ!ねえねえ、彼女」
一人の男の人、含め他二人の男の人の姿が私に声をかけてきた。
「はい?」
「ここの学校にさ、比羅瀬 友花っているよな?その子の情報知らない?」
「情報?いや…私に何か用ですか?」
「マジ、噂の子?」
「噂の子?あの…」
グイッと肩を抱き寄せられた。
「や、やだ!何ですか?」
耳元で言われた。
今更、その話?
内容は、『タダでヤらせてくれるんでしょ?』
『かなりの野郎とヤってるって?』
『やり手らしくて満足させてくれるんでしょ?』
そういう内容だった。
まさかの噂が、変な所に迄、広がり、しかも、落ち着いた時の今。
私は、押し飛ばし、慌てて走り去った。
「おいっ!逃げたぞ!捕まえろ!」
私は無我夢中で逃げる。
しかし、3人に囲まれ逃げ場を失う。
「……………」
「残念でした!」
「悪いね~。狙った獲物は捕まえる!」
「そう、そう。それが俺等のモットーだから」
グイッと肩を抱き寄せられ、周囲にバレないように私を路地裏に連れて行く。
ドサッ
押し飛ばすようにされ、すぐに二人に押さえ付けられた。
「や、やめ…っ!」
口を塞がれる。
暴れ抵抗するも、かなわない。
「何!抵抗してんだよっ!今迄、色々な男とヤってきたんだろ!?」
バシッと頬を打たれる。
その後、抵抗する度に、頬を打たれ荒々しく裸にされ、容赦なく大きい手が私の身体に入ってくる。
そして、私の身体を一気に熱が貫いた。
「…っ!」
恐怖からと逃げられない状況に私はどうする事も出来ずにいた。
3人の相手をする事となり、私は、ただただ泣くしかなかった。
気付けば、どれくらいの時間が経っていたのだろう?
彼等の姿は既になく、辺りは暗くなっていた。
乱れた制服を整えるも、身も心もボロボロだ。
「……………」
約束が破られた瞬間。
私はトボトボと帰る。
「お疲れ様です。ありがとうございます!また、宜しくお願いします!」
「ああ。こちらこそ頼むよ。瑞君」
《…瑞…》
「…あれ…?友花…ちゃん…?」
私が声のする方に視線を向けると同時に私の名前を呼ばれた。
「…お兄…さん…?」
「こんな時間に何してんの?未成年がウロついてたら補導されちゃうよ?」
「そ、そうですね」
何事もなかったように無理に笑顔を見せる。
「バイトしてるとか?」
「えっ…?あ、そ、そうなんですよ~」
「迎えは?」
「いいえ。今日は…」
歩み寄るお兄さん。
スッと片手があがり、さっきの光景が脳裏に過り、体全身がビクッと強張った。
次の瞬間、フワリと優しく抱きしめられた。
「…何かあった?」
優しい口調で言うお兄さん。
私はお兄さんの洋服をぎゅっと握りしめるも、すぐに押し離した。
「ご、ごめんなさい!大丈夫です!」
私は走り去るも、すぐに掴まった。
「は、離して下さい!本当に大丈夫ですから!」
グイッと背後から抱きしめられる。
「そんな様子じゃない事くらい分かるよ」
「………」
「俺の事、甘く見ない。どれだけの原石を見て来たと思ってるの?友花ちゃん。原石だけじゃなく人を見る目は誰にも負けないから。俺の所に来な」
私は首を左右にふる。
「俺、一人暮らしだから弟の零次はいないから安心して」
抱きしめた体を離すと、タクシーを呼び私をタクシーに乗せた。
私は、お兄さんの部屋に行く事にした。
「ゆっくりしてて。零次、呼ばなくていい?」
「…合わせる顔ないから…」
「………………」
「この際、お兄さんと関係持っちゃおうかな?」
「えっ…?」
「アイツとの約束…破ちゃったし…」
「約束…?」
「零次以外の異性と関係持たない……だけど…今日…その約束破っちゃった…でも、元々、私は、そういう人間だったから…」
「………………」
私は制服を脱ぎ始める。
「友花…ちゃん…?いやいや…俺は、そんなつもりで、ここに連れて来たわけじゃないから」
「…やっぱり…汚れた身体に興味ないですよね」
「汚れたって…」
「だって…」
「…友花ちゃん」
私が座っているソファーに歩み寄ると、私の隣に腰をおろす。
肩を抱き寄せられ、お兄さんの胸の中に顔を埋めさせた。
「何も考えなくていい。零次は分かってくれるから。友花ちゃんは何も悪くない」
私は、お兄さんの洋服をぎゅうっと握りしめる。
頭を撫でるお兄さん。
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