第3話 マナの習得
フェリシアーノは、木から木へとすばやく飛び移り、どんどん逃げていく。
やがて、追っては消え、 ずいぶん遠くまで来た。
そして、山の洞穴に連れてこられた。
「意識はあるか。」
うなずく。
「これを飲め。貴重な霊薬だ。」
俺は、もうろうとしながら、それを飲んだ。
途端に腹が痛くなる。
「マナを練るんだ。」
俺は、マナを練った。
しかしうまく練れない。
「マナの練り方も知らんのか。」
そう言うとフェルシアーノは、俺を座らせ、背なかに手を当てる。
そして、俺のマナを操りだした。
腹の真ん中にマナが集まるのがわかる。
そして、マナをグルグルと回し始めた。
「ドイルは、残虐な毒魔法を使う。何もしなければ、手足がしびれ、10日ほど苦しんで死に至る。おぬしは、霊薬を飲んだから、マナが高まったはずだ。あとは、自らマナを練って治療するしかない。」
俺は、毎日マナを練った。
食事は、フェルシアーノさんが作ってくれる。
「フェルシアーノさんは、なぜ殺人や強盗を働いたんですか。お話をしているとそんな人には見えないのですが。」
「殺人や強盗などしておらん。ぜんぶドイルが着せた濡れ衣じゃ。今回はこれに人さらいが加わったな。」
- どうも、うそを言っているとは思えない。
「ドイル子爵はなぜそんなことを。」
「わしとドイルは、同じパーティだったんだが、あやつの不正をつきとめた。それ以来わしを目の敵にしておる。」
俺は、フェルシアーノさんを信じることにした。
ドイル男爵は、確かに俺をねらって魔法を繰り出した。
信用できる人ではない。
それにフェルシアーノさんは、一度も攻撃してこなかった。
聞くと霊薬は相当貴重なものらしい。
材料の入手も困難はうえ、熟成に何十年もかかるそうだ。
「若いころに興味を持って作った物だ。今のわしには、必要ない。気にすることはない。」
「貴重なものをありがとうございます。
「おぬしは、霊薬を飲み、ドイルの猛毒を治癒しようとしている。完治すれば相当なマナの使い手になるし、毒や麻痺の攻撃の耐性も得ることができるだろう。」
俺は、自ら治療しながら、フェルシアーノに気の練り方、集め方などを学んだ。
また、フェルシアーノさんは、生活が不便だろうと、生活魔法の巻物をくれた。
生活魔法は、簡単な魔法で巻物さえあれば、戦士でも覚えられる。
夜部屋を照らすカンデラや、体や物をきれいにするクリーンなど便利な魔法の巻物をもらった。
それから1か月ほどして、俺は。起きて動けるようになった。
「もういいだろう。おぬしの毒は、ほぼ完治しておる。あとは、自分でマナを高めるがよい。わしは、しばらくここを離れる。その間自由に使っていい。食料は、この山を下ったところに村があるから、そこで調達できる。山にはホーンラビットやワイルドボアがいるが、それらの肉も売れる。ただ、シルバーウルフやビックベアには気をつけることだ。」
「そうですか。まだまだ教えてもらいたいことがたくさんあるのですが、これ以上迷惑をかけられません。命を救ってもらった上に、いろいろ教えていただきありがとうございました。」
「わしは、本来、魔剣士じゃ、これ以上戦士のおぬしに教えられることはない。そうだ、いい本がある。それをおぬしに貸してやろう。」
そう言って、1冊の手書きの本を渡してくれた。
「わしの兄弟子が書いた本だ。わしは読んだことはないが、兄弟子は双剣使いだ。兄弟子は、魔法は使えなかったが、剣にマナを通すことで達人になった。参考になるだろう。」
マナを直接、剣に通すというのは聞いたことがない。
本には、マナの練り方やと剣に通す方法が書いてあるという。
また、図がついており、剣技の型も書いてある。
ロングソードの双剣を使っているようだ。
「これをやろう。」
フェルシアーノさんは、1つの種をくれた。
「すばやさの種だ。素早さの能力値が限界値の20になったら食べるがいい。限界値を超えて、成長できるようになる。効果があるのは、1人1回のみだ。それを食べると、ほかの能力値の種を食べても効果がない。もっともそう簡単に手に入るものじゃないがな。これは若い時に手に入れた残り物だ。」
そう言うと、フェルシアーノさんは、山のなかへ去っていった。
俺は、ひとり残されたが、ドイル子爵に攻撃されたときに武器も盾も失っている。
俺は、山を下り、武器を調達しに行くことにした。
追放戦士のダンジョン攻略 ~魔法の使えないただのタンク役の戦士だからと追放されたが、かえってよかった。不遇職の戦士でも、双剣の戦士として成り上り、次々とダンジョンを制覇する。 @setsunayo
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