第9話 まったくもう!
ハッスの埋葬を手伝ってもらい礼を言う。彼らはDランク(上級)冒険者だった。
どおりで強いわけだ。
なぜ初心者向けダンジョンにいるのか聞いてみる。
「今みたいな事が最近多いから警戒してたんだよ。今月は7人、いや8人か。亡くなってるからね。」
メガネの獣人マルクが肩を落とし答える。
細身だが背は高くローブの下には黒い司祭服を着ているようだ。
「そんなに!?でも帝国の発表だと1人だけって・・・」
「本当の事なんて言えるわけ無いじゃない。帝国がどれだけこのダンジョンで稼いでいるか知ってる?他にある7つのダンジョン足した10倍以上って言われたてるんだから。隠すに決まってるでしょ。」
エルフの射手ソフィアにそっけなく言われてしまう。金髪ショートの美人で歳は16、7くらいだろうか。いやエルフって長命だからもっと上かな?
「アンタ運が良かったわね。アタシたちがいなかったら瞬殺よ、瞬殺。」
ぐぬぬ。
「しかし最後まで諦めずによく足掻いたもんだ。一瞬でも遅かったらお嬢ちゃん死んでたぜ。」
熊さん、もといウーゴさんに褒められる。
ハッスより二回り程大い体に白髪混じりの短髪で顎髭をたくわえた姿は熊そのものだ。
「いやホントに運が良かったというか。なんと言うか・・・ん?」
「ん?どした?」
はぁ〜。
「僕お嬢ちゃんじゃないですから。」
「はあー?」
「アンタ女の子でしょ?」
ソフィアさんまでそんな事を言う。
「・・・」
マルクさんは無言。
「僕、男の子だよ?」
「マジ?」
「マジだよ?」
はああああああああああああ?
この後ウーゴさんが確認しようとして来て大変だった。
初見だと絶対間違われるんだよね。
学園で告白された事は幾度もあった。
大抵は男からで自分は男だと言っても信じてもらえず、むしろその方がなんて言われて襲われそうになった事もある。
守ってあげたくなる小動物的愛らしさがあるとかないとか。はぁ。
容姿のせいもあるけどね。小柄で女の子みたいな顔に黒く長い髪。
実は子供の頃あの災害で僕も魔物に襲われていたんだ。左の肩から左の耳の裏まで伸びる魔物の爪痕。
これがまた気持ち悪くてね。しかたなく髪を伸ばしてるってわけ。
しかたなくだよ!しかたなく!
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