第8話 森の熊さん

「ハッス!!」

そんな、どうして

僕が戻った時ハッスは変わり果てた姿で死んでいた。


バッカスとレイナは!?


周りを見ると2人を発見する。

スケルトンに襲われている!

助けなきゃ!僕は短剣を握りしめスケルトンに突進する。

その時バッカスの持つスクロールから光が溢れ・・・


「あっ」


2人の身体は光に包まれ消失した。


えっ待って!今のって転移の魔法!?

脱出出来たのか・・・


「良かった。良かったよおおお。うわあああん。」

安堵で涙が止まらない。


こちらに気付いたスケルトンが迫ってくるけどもういいや。ハッス僕もすぐ逝くからね。

バッカス、レイナの事頼んだよ。


目を瞑りその時を待つ。


・・・・・・・・・・・・


「って死ねるかああああああああああああああああああ!!」


やっぱヤだああああ死にたく無い死にたく無い!!

ゴロゴロ転がり運良く斬撃をかわす。


逃げ惑う僕を見てスケルトンが

笑った?気がした。


「オオオオオオオオオオオオオオオ!

舐めやがって骨があああ!」


短剣で突くもあっさり弾かれてしまう。

剣を振り上げた奴を見上げる。


ふぇぇ。





キィィィィン!

キィィィィィン!


!?耳をつんざく金属音。


「よく吠えた!やるじゃねえかガキ!

僕とスケルトンの間に割って入った2メートルはあろうかと言う熊みたいな大男がこれまたデカい大剣を構え僕をどなりつける。


「あ、あの、あなたは・・・」

「話は後だ!今は後ろに全力で逃げろ!」

熊みたいな男の言葉を聞くや否や僕は走り出した。

後方から聞こえる斬撃の音は激しさをましていく。

時折空を流れる閃光。あれは魔法?

前を見ると熊さんの仲間と思われるローブを被った少女?が光の矢を放っている。


「こっちだ。」

木の影から現れた眼鏡をかけた細身の男。頭に耳が生えている。

獣人だ。こちらもローブを羽織っている。


「怪我は無いかい?」

「はい、疲れてはいますが怪我は有りません。」

そう答えると男は笑い


「そうか。そこの木の影に隠れていなさい。」

僕はそそくさと隠れる。


この人たちベテランの冒険者だ。駆け出しの僕でも分かる立ち居振る舞い。

眼鏡のお兄さんが呪文を唱えると光の束が掌から放たれスケルトンを包む。

聖魔法だ!人に向ければ癒やしとなり魔物が浴びれば業火の苦しみが襲う。

バッカスも使えたが彼が出来たのは擦り傷を治す程度。でも、これなら。


光に包まれたスケルトンは苦しさからか動きが鈍くなる。


「ハアアアアアア!!」

熊さんの横なぎの一線。スケルトンの首が飛ぶ。


「よしっ!」

僕が叫ぶと、


「まだよ!もう1匹!」


光の矢を放ちながら言う少女。

矢はスケルトンに当たり苦悶の声を上げる。

この距離から当てる技量、凄いとしか言いようがない。

魔法だって距離があると普通に外れるからね。


「ハアアアアアア!」

少女と眼鏡の獣人の援護受けて熊さんがついにトドメの一撃を叩きこむ。

頭を破られたて絶命?するスケルトン。

あれ程の大剣をどうやったらあんな速さで振れるんだ!?

僕は興奮していた。この人たちに付いていけばいつか僕も。


ハッスごめん。まだそっちには行けそうも無いや。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る