初級チュートリアル その2




“ではこれから初級チュートリアルのその2を行いたいと思います。準備やお時間のほうは大丈夫でしょうか?”





YES。






“今回は第二種エレメントである「金鉱」と、第三種エレメントである「時空」「機構」「磁重」についてです。第一種エレメントのカードよりも少し手に入りにくくなっています。分かりますでしょうか?”





YES。





“第二種エレメントである「金鉱」は宝石、つまりjewelryと、元素、つまりelementの二つがあります。第〇種エレメントと言っているのは「原子」が物質を構成する具体的要素を指すのに対し「元素」は性質を包括する抽象的概念を指す用語になったからです。詳しい説明は省略します。分かりますでしょうか?”






 う、うーんとなりながらYES。






“さて、jewelryですが、主に天然鉱物としての無機物結晶を指し、ラピスラズリ、ガーネットのような数種の無機物の固溶体。オパール、黒曜石、モルダバイトのような非晶質。珊瑚や真珠、琥珀のような生物に起源するもの、キュービックジルコニアのような人工合成物質など様々なものがあります。宝石としての必須条件は何よりその外観が美しいこと、次に希にしか産しないこと、つまり希少性ですね。そして第三の重要な条件として、耐久性、とりわけ硬度が高いことが挙げられます。これ以上の詳しい説明は専門チュートリアルを用意していますのでそちらをご覧ください。分かりますでしょうか?”






 何が何だかわからなくなってきたけどYES。





“次にelementですが、主に2つの考え方があります。元素と原子、つまりelementとatomです。elementは性質を包括する抽象的概念であり、atomは物質を構成する具体的要素です。いろいろなモノが一体何からできているのかという疑問と考察は洋の東西を問わず古代からあり、物質観・自然観と世界観と関連づけながらそれぞれの文明圏で体系がなされました。それらが「火」「水」「土」など自然現象から抽出された少数の「元素」であり、宗教と関連づけられることもありました。アイルランドの自然哲学者ロバート・ボイルは実験や測定や分析を重視し、それらの結果から「これ以上細かく分けられない物質」を元素と定義しました。現在、元素は118種類の存在が確認され、いずれも国際純正・応用化学連合(IUPAC)により正式名称が与えられています。なお、元素は173番目まで存在可能との説も唱えられています。夢がありますね?






 なんじゃらほいとなりながら銅やアルミとかは分かる、あ、空気もかと思ってYES。





“atomに関しては各元素の差異は原子番号すなわち原子核に存在する陽子の数、つまり核種で区分され、中性子の総数により質量数が異なる同位体も同じ元素として扱われます。これも専門チュートリアルがありますので参照してください。分かりますでしょうか?”






 よし、絶対に核とか使わないぞ、最悪な兵器だしと考えながらYES。





“次に第三種エレメントである「時空」ですが、時間、つまりtimeと、空間、つまりspaceの二つです。timeとは、出来事や変化を認識するための基礎的な概念です。長さの意味での時間を数で示す表現を日本語および英語で挙げてみると例えば5時間を示す five hours、2日を示すtwo days、4ヶ月を示すfour monthsなどですね。四季の移り変わりも時間の一つと言えます。また細かく言ってしまえば時刻もそうですね。あなたの『ブラインダー』の時刻は今、何時何分でしょうか?”





 時刻が表示される。今は午後の2時38分だ。





“私の記録によれば今は2時38分のはずです。これが時刻です。哲学的概念としてのtimeは、まず第一に人間の認識の成立のための最も基本的で基礎的な形式という位置づけにあります。先ほど説明した通り、時の流れと時刻、これがtimeの哲学的概念の基礎です。この「時空」についても専門チュートリアルが用意されています。分かりますでしょうか?”





 分かりやすかったのでYES。





“次にspaceですが、日常の用語では大きさを持った入れ物を指し、哲学では時間と共に物質界を成立させる基礎形式を指します。また物理では3次元のユークリッド空間、すなわち、3方向に無限に拡がるものとする数学を用いてニュートン力学体系を構築されました。そして、spaceはその本性において、外界のいかなるものとも関係がなく、常に同じままで不変・不動と記述されました。万有引力という言葉をご存じでしょうか?”





 聞いた事はあるけどなんだっけかとNO。





“宇宙の空間のすべての点が、全ての天体の位置と質量を「知って」いる、と考え、空間というのは「神の感覚中枢 」であるという考え方です。空間を絶対と見なしたニュートンに対して、ライプニッツは空間は相対的なものであると見なし、論戦が繰り広げられられました。アインシュタインの特殊相対性理論では、空間と時間はミンコフスキー時空という一体のものとして記述され、さらに一般相対性理論では、物質・質量の存在により「曲がる」4次元リーマン空間として記述され20世紀後半に発展した超弦理論では空間は9次元だとされます。わけがわかりませんね。そうでしょう?”





 ちょっと笑ってYES。





“安心してください。これ以上の詳しい説明は専門チュートリアルを用意していますのでそちらをご覧ください。分かりましたでしょうか?”





 YES。





“次に「機構」ですが技術であるtechnologyと、絡繰であるmechanism、細かく分類すれば美術や芸術であるartや、それに工芸であるcraftsも入ります。「○○のようなものを表現している」と想像力をかき立てられるものをart、茶碗のように「目的があるもの」をcraftsと呼びます。話を戻しますが、technologyは基本的に「特定の分野における知識の実用化や、「科学的知識を個別領域における実際的目的のために工学的に応用する方法論」を指す用語・概念です。ここから派生してtechnologyは、科学的知識をもちいて開発された機械類や道具類を指すこともあります。これも専門チュートリアルを用意しています。over technology は和製英語ですが、現在の技術水準を遥かに超えた技術は夢がありますね。そうでしょう?”




 うん。未来技術だ。YES。




“次に「磁重」ですが、その名の通り、磁力であるmagneticと、重力であるgravityの二つです。magneticの簡単な例はmagnetでしょうか。小学校の実験で磁石を使ったり、家の冷蔵庫に紙やなんかをmagnetで止めたりします。話は反れますが、最初に冷蔵庫の表面を鉄にして紙を止められるようにした人は天才ですよね?”





 そうだそうだ。YES。





“話は戻りますが、magneticは磁石がまわり磁石や鉄と引き合ったり反発しあったりする力を指します。一般に磁力を持つ物質を磁性体と呼び、磁石でない金属も、磁石で強くこすったり長い間磁石に接触させると磁力を持つようになります。これを磁化といいます。鉄でない物もくっつくんですね、びっくりです。磁力は1つの磁極、つまりN極から発して反対の性質を持つもう一方の磁極、S極で終わる磁力線と呼ばれる仮想の線で表現され、平行する磁力線は磁束と呼ばれます。磁極はN極またはS極の2種類のみであり、日常ではこれら2つが常に対になって存在していますが、磁気単極子またはモノポールと呼ばれるN極またはS極が単独で存在するとする物理仮説があります。地球の作るmagnetic forceによって磁針はmagnetic forceの北と南を向くため、方位を知るのに使われます。コンパスがそうですが、普通、コンパスは円を描いたり、線分の長さを移すのに用いる文房具・製図器具を指します。小学生の時を思い出しますね。コンパスの原語はオランダ語のkompasに由来し、これは現代オランダ語で方位磁針のことを示します。現代ではオランダ語のpasserですね。分かりますでしょうか?”




 う、うーん磁石だけじゃダメなのかとYES。




“簡単に言えば磁石の引き付ける力を利用すると、物を持ち上げることができ、強い磁石ほど重たい物を持ち上げることができますが、それを引き離すのは大変です。しかし現代では電磁石を使えばスイッチの切り替えで磁力を切ることができるので便利です。また、磁石の反発を利用して物を浮かすことができます。磁石が強ければ、列車のような重たい物でも浮かすことができます。これを磁気浮上と呼び、この力を利用して車体を支え、リニアモータで車体を進めるリニアモーターカーは典型的な例ですね。乗った時はありますか?”





 そういや昔は車輪だったっけかとYES。





“次にgravityですが、地球上で物体が地面に近寄っていく現象や、それを引き起こすとされる「力」。人々が日々、物を持った時に感じているいわゆる「重さ」を作り出す原因となる力を指します。また、物体が他の物体に引きよせられる現象やその物体の質量によって生じる時空の歪みが他の物体を引き寄せる作用の事も指します。毎日のダイエットは大変ですよね。女性ならこの気持ちを解ってもらえるでしょうか?”




 そーだそーだ!とYES。連打する。




“gravityは物理学の文献においては慣習的に、天体の表面重力を小文字の g、万有引力定数を大文字の G を用いて表します。日本語の「重力」は、オランダ語の zwaartekracht を重さである「zwaarte」と、力である「kracht」に分けて意訳されたものです。重力という表現は、宇宙論などの領域では万有引力と同一として扱われることがあります。地球上のことについて論じている場合は、地球上の物体に対して働く地球の万有引力と地球自転による遠心力との合力を指しています。地球の自転とは無関係な物体の運動について論じている場合は、遠心力の成分は除いて扱うことになります。これ以上の詳しい説明は専門チュートリアルを用意していますのでそちらをご覧ください。分かりましたでしょうか?”




 YES。




“これが第二エレメント、および第三エレメントの説明でした。これで初級チュートリアルその2は終わります。お疲れさまでした。”




 頭がこんがらがってきたけど体重の話をされてちょっと笑ったのでいいか。


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