第2話

「この世界の…悪役…??」

 異世界に来ただけでも混乱している真結にお構いなくイツは話を進める。


「はい。実はこの世界h…』

「ちょ、ちょっと待ってほしい!私まだ目が覚めたばっかりなんです。

 イツさんでしたっけ?せめて顔洗って心整えていいですか!?」


 イツは「もちろんです。」と答え、真結は心の準備を終えた。


 真結の準備が終えたことを確認したところでイツは再び話を始めた。

「この世界は、ココロさんという方が書いた物語の世界です。

 ココロさんは病気を患ってわずらっており、亡くなる前に

 この世界を書き記そうとしましたが、ある登場人物で悩み、

 そのままこの物語は止まってしまいました。」


 イツはココロさんを思い出して話しているかのように楽しそうに

 そしてとても冷たく悲しみを堪える声で語っていた。


「もしかして、その登場人物っていうのが、悪役ですか?」

「その通りです。ココロさんは悪役は物語においてとても大事だと

 こだわっており、候補として七人の悪役たちがいます。」


「七人!?ものすごくこだわってたんですね。

 あれ…でもそしたらもうすでにいる悪役をどうして探すんですか?」

 純粋に変だと思った。それほどこだわって七人もの悪役を作り上げたなら

 自分が探すまでもないのではと。


 その言葉を聞いたイツは少々答えにくそうに話し出した。

「実は…その悪役たちはそれぞれが未完成であり、最終的に誰が本当の悪役に

 なるかが未確定なままなのです。」


「なるほど…。つまり物語を進める上での起点となる悪役六人と

 最終的に主人公に大きな影響を与える大悪役の設定が十分ではないって

 いうことですか?」


「そうなります。そこで真結さんにお願いしたいことを改めて申しますと…」

 イツは一度自分の言葉を飲み込んで、改めて言葉を紡ぎ始めた。


「七人の悪役たちに直接会っていただき、誰がこの物語の本当の悪役かを

 決めるお手伝いをしていただきたいのです。」

「この世界の物語を一つの作品として完成させるために。」


「私が…!!??!」

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