第6話 巫女アラディア・セレスティアの経緯

私、アラディア・セレスティア。

この地方がソルディアに支配される前から、

ずーっとこの地に居た家の生き残り。


感染症のコロリン病は我が家の家系能力で起こしたんじゃないか?と疑惑の目を向けられている。


実際、おばあちゃんは魔女狩りにあった。一緒に飼っていた猫も火あぶりの刑にされた。うちの家は一家離散になり、みんなバラバラに生活をすることを余儀なくされた。


うちの家は、ソルディアに占領される前のグラシエス国の宗教であるコルト教の巫女の家系なの。ずっと、ずっと、見えちゃう血筋で、お祈りなどを森の中でこっそりしていたそうよ。


で、ソルディアに占領されてからは、コルト教は異端とされてからは、肩身が狭い思い生活をしている。結局、精霊はそこにまだいるのに。ソルディアの審問官は、見えない人がやっているから、信じてくれる訳がない。


ソルディアの統治者たちはクリシソ教を信仰していた。クリシソ教では、神は神だという変な宗教をもてはやしていた。この地にはクリシソ教の精霊は見えないのに。というかそもそも人工宗教で、神なんていないんじゃないか?とも思える宗教だ。


クリシソ教の神がいるならば、神がいつも自分たちを見ているはず。それならば、こんな先住民たちへの酷い扱いはしないはずだ。しかも、全然、政治をまともに行っているから、コロリン病なんていうのも流行るし、治安もどんどん悪くなる一方。


治安を取り仕切ってる番人に対しても、結局、お金を払えば、その罪は消されてしまう。


森を切り崩されて、この辺りははげ山だらけ。大雨でも降ったらいつしか崩れそうだわ。すっかり精霊たちも昔よりもさらに減ってしまった。もう少し、どこか遠くで、でも便利なところに住んでみたい。ここはもううんざり。心が落ち着かないわ。


どこかに開拓団のキャラバンでもいないかしら。

魔女とはわからないように潜まなければ。

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