第4話 様々な家族との出会い③ハント家

話しをしながら思ったが、物資は足りているのだろうか……。


少し心配になる。

木材は現地調達でいいとして、

石材と工具、衣服、そして食料と水は数ヶ月分は運んでおかないとな。


と思っていたら、

次の家族が来た。


食料系ならいいな。と内心思っていた。


「こんにちは。あれ?みんな元気ないね。これから出発だっていうのによ。辛気臭い顔してさぁ。何やってんだい。」


「これから出発だから辛気臭い顔してんじゃないかい。不安で不安でよ。お前さんも学校に行くときだって、友達ができるかどうかとか不安にならなかったかい?」


「いやならなかったよ。これから先は何も悪いことは無い。良いも悪いも全ては自分の認識でしかないんだよ。何かあった時、それをどう解釈するかはすべて自分次第。いかようにも解釈できるんだよ。その状況で、一見悪いことが起こったとしても、それのいい面に注目すれば、自ずと幸福感っていうのかさ、そういうのが増すんだよね。」


「でも、今回は最悪だろ?」


「え?なにが?」


「だって、この街捨てて新しい土地に行くんだぜ?心配にならないかい?まずは木の伐採。そして、草刈り。ある程度、どこからどこまで誰の土地とかいう人間関係も面倒だろ?それに刈った草は田んぼにするところにもっていく。種や餌もある程度、馬車に詰まなきゃな。」


「え?それって、楽しいじゃん。だって、全部、自分で決めることができるんだよ。何が辛いの?全部が全部、自分でやって、自分で何をするかできて、新しいものを作っていけるんだ。新しい出会い。新しい人との繋がり。すべてすべて楽しみで仕方ないよ。」


新家族と揉めていると、スミスが仲裁する。


「どっちの言うこともわかるね。うん、いい面悪い面なんでもあるけど、どっちだけ見るみたいな極端なことはしないほうがいいんじゃないかえ?まともに何もかも見えなくなる。鷹の目・蟻の目・魚の目だ。なんでも客観的に見たほうが、仕事する上ではいいね。家庭では邪魔になるがね。」


「そうそうそう。そうなんですよ。鷹。いいなぁ。鷹。実は俺は狩人なんだ。バキューン。バンバン。」


「そんな物騒なもん振り回すんじゃないよ。しまいなさい。じゃあ、食料担当になるってことかい?」


「いや、俺は肉担当。魚担当と野菜担当は別に確保しないとな。」


「豚や鳥もいけるのかい?」


「いや、そいつはダメだな。野生肉担当だい。バキューン。」


そう言って、親指を天に指しながら、人差し指と中指をこちらに突き刺してくる。


「痛いっ!て、病気だったらどうするんだよ。」


「気にするな。そんときはそんときだよ。HAHAHAHAHA」


「やめてよ。そんな馴れ馴れしいのは。」


と、言いつつ、色んな意味で前途多難な世界が広がっているなと、

紫色の暗雲が空にどよめいてくるのだった。

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