第3話 戦闘
女神とわかれてから、俺は生まれ変わった。性格がとか、生き様がとかではない。文字通りの生まれ変わりだから、転生になるんだろうか。生まれてからは、15年の歳月が経っている。その間に、俺は色々と準備していた。
実際に生活していると、女神信仰というものに触れる機会も多かった。祭りなども催されることがある。俺は適当に、祈りを捧げるフリをしているが。
加護についても、大半の人々が持っているようだ。戦闘向きの加護を得られた者は冒険者の道を進み、魔物退治をしていることが多いと感じる。戦闘に向かない加護であれば、支援者として活躍している。加護を得る時期もまちまちであった。俺のように、産まれながらに持つ者もいる。
生活の中で気がついたが、魔王の進軍もある程度は鈍化しているようだ。女神の封印とやらは、あながち嘘ではなかったと俺は感じていた。それでもモンスターは発生し続け、被害が出ている。こうして、スライムでも倒していると、多少は世界平和に貢献できている気がする。
『経験値を交換しますか?』
俺の頭の中で声が響く。10歳の頃から、俺はスライムを倒し続けてきた。RPGゲームで、最初の街でひたすらレベル上げをするタイプ……ではないのだが。まあ、実際に生活しながらとなると、こうなるのかもしれないな。ゲームと違うのは、モンスターを倒してもお金が落ちるわけではないこと。
冒険者ギルドに登録して、依頼を受けないと金が手に入らない。なので俺は、素手。素手ゴロでここまで来ている。16歳になれば、冒険者ギルドに入れるのだから、それまでの辛抱だ。元の世界で噛じった格闘技が活きているのも、俺がやってこれた理由だ。
「交換する」
口にする必要もないのだが、つい声が出てしまう。目の前に、交換する内容が浮かぶ。ゲームのようなステータス画面とでもいう感じだ。今日は、
『捕食』という
「さて、街に戻るか……」
俺は誰と会話する訳でもないが、一言つぶやき、街へと向かった。今暮らしている場所は、ルマールという街だ。人口一万人の地方都市。この世界での両親は定食屋を営んでいる。特に跡を継げとも言われていないが、俺は時折手伝っている。元の世界の料理を出すこともしたことがきっかけなのか、ルマールでも人気な店になっていた。
「ただいま!」
「おかえり! レオン、夕飯は適当に食べといて!」
「分かった、適当に済ませておくさ」
俺は厨房に立ち寄り、パンとドライソーセージを取って部屋に戻った。簡単な夕飯過ぎるが、とりあえず腹を満たせれば構わない。簡単な食事を済ませ、俺は日課に励むことにした。
――筋トレ
筋肉は裏切らない。元の世界の雑誌で読んだ言葉。モンスターを倒さなくても、僅かだが経験値を手に入れることができた。筋力が上がり、攻撃力が増す。俺にとっては、理に適った手段だ。
プランク、プッシュアップ、クランチ、スクワット。自重トレーニングを続けてきた歳月は、俺に効果をもたらしてくれたと自負している。
筋トレの後は、牛乳。プロテインといきたいところだが、この世界にはまだ存在しない。まあ、牛乳やチーズでも十分だ。俺は厨房に牛乳を取りに向かった。
◇◇◇◇◇◇
名前:レオン・トラジール
職業:無職
レベル:1
ステータス:体力 D(34/100)
筋力 C(48/100)
敏捷 E(26/100)
魔力 E(21/100)
精神 E(21/100)
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