第55話 御守

仕事の車には交通安全の御守と、厄除けの御守の2個を付けている。

交通安全はウインカーのバーに、厄除けはバックミラーにかけてある。

ある朝の現場への移動時の事。

普段混む場所では無いのに、大渋滞していた。

前の方で、回転灯らしき反射が見えた。

事故での渋滞と察し、動くまで待つことになる。

かなりの時間を要して、事故の場所を通過した際、頭にズキリと痛みが出た。

なんで?と思うけど、それ以上に早く行かねばと思い現場へ向かった。

その時は気付いて居なかったんだ。

翌日、同じコースを進むが、先日の事故ポイントへ来ると、またもズキリと頭が痛む。

おかしいと思い、何気無くバックミラーに吊るされた厄除けの御守に視線が釘付けになる。

中に玉でも入っているのでは?と思うくらいパンパンになっていた。

御守の中身を知っているので、この状態が有り得ないのは解る、解るのだが、何で?が先に来た。

帰りの車内では、厄除け御守は元の状態に戻って居たが、件の場所に近づくとボワッと膨らんだ。

この時頭痛は無かった。

流石にね、何かあるよなと思ったので、帰りの道すがら、御守を下賜された神社へ向かう。

掃除をしていた神主さんが眉をひそめやってきた。

『持ち込みは困るよ』と一言

その目は、私ではなく背後を見ていた。

御守が変化した旨を伝えると、『後で処理しておくから、新しいのを受け取ったら帰った帰った』

そんな感じで追い返す。


翌朝、仕事へ向かう前に、神主からメールが来ていたので開く。

『処理して置いたから、もう頭痛も無いから、後は気にしない事だよ』と書いてあった。


現場への道中、例の場所を通過しても、特に異常は無かったので、ほっと一安心。

後日、お礼に行かねば。


以上

『御守』でした


今回の話に出てくる神社は、ある設計士の己録に出てくる弟子の生家では有りません。


当然ながら、先生の御守は非売品です。

コミカライズ上の神社も御守は販売していませんので、

【何処にある】【買えるか】【売ってくれ】等にはお答えしません。




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