第50話 ある物件の話を 前編
【前編】
最近新築戸建を購入した、友人から相談を受ける。
なんでも、新築なのに変な匂いがするらしい。
どんな匂いか聞いてみたが、何か解らないけど、馴染みが有るような無いようなと。
場所を聞き伺う事にした。
住所を聞いて驚いた、事務所から10分圏内だったから。
目的の御宅へ到着、随分と様変わりしていた。
以前のこの辺りは、小型な平屋住宅が建て込んでいたが、今は見る影も無く、綺麗に並んでいた。
まとめて造成されたようだ。
指定の住所、そこは以前、ある工場だった。
匂いが原因で追い出しになったとか、そんな話を聞いた気がする。
友人へ到着した旨を伝え、家に招かれる。
中に入りリビングへ行くと、何か匂う。
顔を顰めると友人と気付いたようだ。
『匂うだろ、これの原因が知りたいんだ、なんとかならないか』
この匂い、キムチの匂いなんだよね。
彼の家、ピンポイントでキムチの工場の所にあるんだよね。
左右の家は、敷地の部分だから、そんな匂いに悩まされては居ないはず。
狙ったかのような配置の仕方だったよ。
販売元の業者にも確認させて、原因を調べたが原因は解らずに、消臭剤を毎月送る事で濁されたのだとか。
ここの工場は10年くらい前に出来て、地元のスーパーや食堂に卸していたし、小売もしていた。
規模が大きくなったけど、工場は改善せずに使っていたので、独特の匂いを周りに撒き散らしていたんだ。
車で通ると窓閉めているのに、匂いが入ってくるくらいだからね。
近くに住宅地が広まると、苦情が集まり始めて駆除されてしまったと。
移転先が何処かは知らない。
後から来た者たちが集団になると強気になり、権力を持った気がするのだろう。
一応臭気を測る機会を持参していた、場所で気付いていたからね。
スイッチを入れるも、針が振れない、こんなに匂うのに。
だとしたら、気の所為か?
いやいや、匂うし、家主が苦情をいうんだから、これは現実。
意味が解らず、この話は持ち帰りになった。
数日後、仕事の打合せで、某事務所へ行く。
何気ない会話の中で、友人の家の匂いの話をした。
ヒントでもあれば嬉しいかなと。
話を聞いた先生が、ニヤリとしながら、『こっから先は有料な』と。
その場で友人に電話をし伝えたら、『払うからなんとかしてくれ』との事で、念の為録音済みなのを伝えて了解を得たので電話を切る。
先生に払う旨を伝えて先を促す。
『そいつは、場に残る記憶だ、映像やシーンも残像として残るし、匂いも残るぞ、ほれ、仏さんになったあとでも死臭が残ってるだろ、あれだよ』
何となく上手く丸め込まれた気がするけど、多分そうだろうと納得。
事務所を出てから、友人に電話をし、聞いた話を伝えた。
対処するなら、それなりの出費はあるぞと伝えたが、彼は即決でやってくれと。
相当悩まされていたのだろう。
事務所にとんぼ返りし、先生に伝えたら、ニヤリとして。
『待ってたぜ、ほらお前の友人の所に行くぞ』とそのまま向かった。
既に用意してあった見積書を出した先生。
金額に納得し、決断する友人。
『こっからは、お前にも見せられんから帰れ』と言われる。
なので、この後の話は友人から聞いた話を元に書きます。
この先は【後編】へ続く
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