第48話 其処にいたのは
最近仕事で知り合った電気工事の職人から聞いた話
彼は、とある大きな工事現場にて、地下3階にて電気設備の入れ替え工事をやっていた。
若い頃、新人の頃にここの工事に入っていたから、
かなり機器も経年劣化していた。
年上の先輩作業員と工事をしていたら、人の気配を感じる。
そこに行くには、いくつかのセキュリティを通過する必要があり、今日の作業員は二人と監督さんが居るだけなのだが、背後に息を潜めて見ている気がする。
チラチラと気にしていたのを、先輩から諌められる。
背後の事を告げると、先輩から『あぁ、あれから結構経ったのに、まだいるのか』と
そこで彼は思い出した。
新築当時、この場所に変電設備を設置したが、作業員が暑いからと、袖を捲り、肌を露出させて作業をしていた。
人の汗は塩分だから、伝導率がいいのさ。
つまり、作業員の方は、身体に電気を通してお亡くなりになった。
メインブレーカーを下げないと通電は止まらないんだよね。
それからは、てんやわんやの大騒ぎ。
警察も消防もレスキューまでも来たが、地下で狭いからね、彼が搬出された時は、事後が凄い事になっていたとか。
そんな話を先輩としていたら、上から監督さんが降りてきた。
開口一番『思い出しちまうから、その話はやめろや』
あれから夢で見てしまうくらいで、やっと最近落ち着いたのだから。
相当記憶に刷り込まれたのだろう。
こんな話だけど、需要あるかい?と言われたが、
秘匿されそうな話だけど公開しても良いと了解を得たので公開の運びとした。
故人の冥福をお祈りします
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます