第30話 事務所の住人

私の事務所には厄介事を吸い取る奴がいる。

応接セットのソファーに鎮座しているソイツは、無駄口は叩かない寡黙な奴です。

見た目は有名なクマです、蜂蜜の瓶を持っているアイツで、サイズも大きな一抱えもある奴です。

事務所に持ち込まれる、色々なモノを吸ってくれるのを実感したのは、私が事務所を引き継いでまもなくでしたね。

元々、クマは引き取り手がいましたが、『この子はここに居るのに意味がある』と言ったのが弟子の兄。

その兄が言うに、『祓いの形は人それぞれだから、妹にやらせてよ、アイツが文句言うなら先生巻き込んじゃえ』と笑顔で言われましてね。

お兄さんから先生へ話が通りまして、弟子の修行だってんで、二人して私の事務所へやってきた。

ブーたれる弟子に先生が、『ボディを3回やったら、次はfinishで腹を抉るように撃ち抜けな』と意味有りげに言ってる。

弟子は訝しげながら先生には逆らえず、対峙してオレンジのクマを見据える

『ボディボディボディっ!腹を抉る!』

その瞬間、事務所の空気までキレイになった気がする。

因みに、オレンジのクマも湿気って重かったが、腹を抉られた後は軽くなりました。

来年も弟子にボコられる事でしょう、年一回の厄払い?


コミカライズにはしない話として、先生と弟子兄妹を出してみました。

もちろん、本人達の了承は取ってあります。






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