第24話 赤い玉

今から20数年前の話

都内某所、でっかい提灯が下がってるあの辺り。

当時、古い建物を解体し、新しいビルやマンションを建てる事が往々にして行われていた。

袋小路にある木造二階建ての二棟。

真ん中に高さ1m程のブロック塀が仕切っていた。

話的には、この二棟の上屋を解体、基礎部分のコンクリートまで壊して地面を整地して終了。

当時はやっとデジカメが出てきた頃で、画素数は低かったが、新しもの好きなので、

カシオのデジカメとニコンのフィルムカメラを持って行った。

両方で同じ箇所を数枚撮影、主に外部建物周りと、何気に塀の上を撮影したのを覚えている。


当時の写真は、現像に出さねば見れなかったので、短時間で仕上げてくれる場所。

確か「写真やさん45分」だったかな、そちらで現像を頼み受け取りに行った記憶がある。

何せ事務所に、表紙に「45」と書かれた簡易アルバムが多数出てきたから。

デジカメはパソコンに取り込み、画像を拡大する。

塀の上を撮影した写真に、ゴミかな何か写っている。

両方の家の屋根近く、塀の上に赤い玉が浮かんでいる。

発見してギョッとした

嫌な予感もしたので、この仕事やったらヤバいかも知れない。

念の為、現像あがりのポジも見る。

こっちに同じ場所に、赤い玉が浮いている。

ネガも確認するが、同じ場所に玉があった。

デジタルもアナログも出てるのか、これヤバいだろ。

ポジをスキャナ読みして、デジタルにする。

何気なく拡大をして後悔した。

真っ赤な玉の中に、口を開け叫び狂うそんな真っ赤な男の頭が3つ見えた。

デジカメの画像も拡大してみた。

同じく叫ぶ真っ赤な男が写っていた。

これ絶対ヤバいじゃん。

直ぐにオヤジさんを呼び、今日の現調した解体は駄目だと告げる。

会社的にはやる気だったが、例の赤い玉の写真、デジタルとアナログとネガを見せた。

顔面蒼白になり、「これは触っては駄目な場所だな、断る事にする」

紹介してくれた方に連絡すると、電話の向こうでため息をついた気がした。

「お前さんとこでも駄目かい、何かあったのか?」と聞かれた

親父さんの目線が私に来たので、口パクで「言え」と伝えて答えさせた。

「実は二棟の真ん中の塀で写真撮りましたら、真っ赤な玉が写りましてね、拡大したら苦悶の男がね」

「お前さんら、あれを見たのかい、そうか見たのか、合点が行った、解ったこの話はここまでだ」

妙にあっさりと終わったな

通話していた親父さんも呆けている。

「手間かけさせたから、もっと良い物件を回すことにするよ、また連絡するからな」と言うと電話は切られた。

少し考える、あれは何かの試験だったのかも知れないな、建築業者は多数ある、もちろん都内にも多数だ。

なのに、埼玉にあるうちを指名とか、普通は有り得ない、まして造るでは無く壊す方でだ。

確かに解体業者は数件知っているが、うちに回す話では無い、直接頼めば良いわけだしね。


その電話から半年後

知り合いから相談があると連絡が来た。

彼は建設業の二代目、私と同じ立場だ。

知り合い経由で、都内の物件の解体を請け負ったそうだ。

住所を聞いたら、私達が敬遠したあの場所だった。

彼は調査、下調べを一切せずに受注した。

木造なので、手壊しと最後に重機を入れたら、容易に終わる仕事なのに、

どこの業者も受けないのか、不思議に思っていたらしい。

彼は現場には出ず、監督が受け持っていた模様、その監督から連絡が来たには二日目。

重機を入れる時からだった。

近隣への挨拶すら無くやってしまった、その為近隣とトラブルが発生した。

地元の結束力は凄く、色々な方々が現場へやってきて、自分たち(住民)の正当性を伝える。

当然、何もやらなかった彼の会社が悪いのだが。

一旦解体工事は中止し、近隣説明会になるが、住民は反対しているから収拾がつかない。

この段で連絡が来たわけだ。

「どうしよう」とね

住民の意見は「そこの土地は○○さんの持ち物だ、勝手に解体とか何考えてやがる!」と

彼に「その○○さんからの依頼なのか?」と聞くと、違う人の名前をあげる。

私も知らない名前だった、どうやら中間に、多数のブローカーがいた模様。

うちは○○さんの身内からの話だったけど、アレを見たらやれないよ。

極めつけは、出資者が見えない。

誰が金出すんだ?と聞いたら、彼は知らないと。

やるだけ無駄だから、今なら勉強代だと思って手を引けと伝えたんだがね。

彼は親の力と、色々な厄介な所の力を借りて、強行したんだよね。

それ以降ね、彼とも連絡はつかないし、彼の親の会社も消えてしまったね。

どこかヤバい所に遭遇したのかな。


色々と暈してまとめました

断片的には、イベントやらで話していますが、完全版はこれです。


何が怖い話だったのかは謎なお話でした。


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