第23話 深夜清掃の撮影にて

解体物件の作業前に、ビデオカメラを持ち建物内外を撮影して歩く。

外観、内部の各所、昼の顔と夜の顔を撮影する。

こちらの保管と所有者へ提出する、これは義務では無いが、解体しこれから新しく建てる前の儀式みたいなモノです。(個人的主観)

夜の顔を撮影する際の話をしましょう。

この撮影は、所有者と管理会社立ち会いの元、何をどうやるかを説明する。

各所へのカメラ設置まで、立ち会いしてもらってます。

設置を確認した関係者は、夜明けまで外の駐車場で待機。

これには私だけが建物内にいる、一人は怖いんだよ。

昼は何てこと無い場所でも、夜は別の顔を表す。

1階にある少し広めの部屋へ簡易の机と椅子を持ち込みベースとし、モニター4台でカメラの様子を見る。

部屋の入口と廊下と2階3階の各部屋、廊下に定点カメラを設置して待機。

関係者以外は来ないと思うけど、証拠にもなるので念の為に玄関内部から外向きと、玄関外から敷地入口、鋼板の入口へ向け2台設置した。

ビデオカメラの数は8台、ビデオカメラは暗視モードにしてあるので、暗さは特に感じない。

これを夜明けまで続ける。

モニターを見ていると、2階廊下のカメラの向きが変わっている。

あれ?と思いつつ2階に行くと、やはりカメラが廊下を映さず窓の方を向いている。

カメラの方向を再度設定をして1階のベースへ戻る。

モニターを見るが2階のカメラは問題無いので、しばらく待機する。

夜明けまで1時間の頃に、カメラが動く。

今度は3階の室内のカメラ、部屋の入口から廊下を映しているが、

モニターで見る限りは左側を向いて、室内を映している。

昼前見回って、不法侵入者もいなかったので、カメラに映るとしたら…………人ならざるモノだろう。

照明片手に3階へ向かう、室内に気配も感じられない。

カメラの向きを直しベースへ戻る。

時計を確認すると5時、カメラの撤収を始める。

6時、所有者と管理会社がやってくる。

後日、編集をしたら渡すと伝えて解散。

眠気は特に無かったのに、帰ったら泥のように寝てしまった。


編集作業をした際、特に何も映っていなかった。

カメラは設置したら操作も出来ない、リモコンなんて無いし。


結果的に言えば、この物件は無事解体作業を終え、

跡地には、戸建て住宅が8棟建設中。


依頼次第で、夜な夜なこんな事をやってます。



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