第21話 つきもの

深夜の事務所にて書類関係の作業中。

眼の前のPCモニタの上部から、何か見られている気がする。

心は気の所為だと思うが、つい視線がモニタ上部へ行くと、目が合ってしまった。

多分人間の右目、顔から右目部分だけを出してるそんな感じ、あの目は見覚えあるし男だな。

怖い感じはしなかった、ただ只管に(邪魔すんな!)に尽きる。

その目が笑った気がした、嫌味なニヤケの気がしたので、ペン立てのディバイダ(※)を手に取り、思いっきり刺してやった。

「ギャー」とか「ぐあー」とか喚いて消えた、多分誰かが覗き見してたんだろう。

生霊とかそんなもんかな、俺に害がなきゃいいのさ、あれが生霊なりなんなりなら、

数日以内に結果が出る事だろう。


その翌日

また夜中の作業中の事。

耳元で「イキテルヨ」と聞こえた。

声の質は女性のモノだった、男の声色とかではない。

キョロキョロと周りを見回したが、人の気配は無かった。

あれは何だったのか。

翌日、打ち合わせに某事務所へ伺い、会うなりニヤリと笑い、

「お前いいもん付けてるじゃねぇか」と

昨夜変な声が聞こえた事を言うと、ニヤニヤしながら右手が動いて、まるで袈裟斬りする様に私を斬った。

体が軽くなり、耳周りの鬱陶しい感じが消えた。

「邪魔なもんは始末しといたからな、サービスにしといてやる」とニヤリ

どんなのが憑いていたのかを聞くと、

「んー、髪は肩までのストレートで、色は黒、顔は人形みたいに無表情の女だが、心当たりあるか?」

一人だけ心当たりがある、学生時代の同級生だ。

翌日アルバムを持って事務所へ伺う。

写真を見せたら「あぁ、こいつだよ、俺が見たのはもう少し大人びてたがな」と。

そりゃそうだろ、昔のアルバムなのだから。

その後、同級生に連絡を取り、「今あいつ何やってんの?」と聞いてみた。

社会人になり宗教にのめり込み、同級生にも布教しまくり、借金にまみれているのだとか。

「ところで何で聞くんだ?」と言われたので、ここ最近の起こった事を言うと。

「同じような事になったのいたよ、ヤツの宗教で祓ってやるとかアコギな事してたぜ」と

でも、そんな事にはならなかったはずだ。

「うちらの地元はアイツがいるからな」と

弟子の実家があるからね、大抵のモノは大丈夫だから。


この話はまだ続くのですが、今回はこの辺で〆ます。

続く


タイトルは、ひらがなにしました。

「突き」と「憑き」ですから。


(※)ディバイダとは、「区切るもの」を意味し、事物を分割する道具や物に使用される名前である。本棚などの間仕切りや、長さを測り取る文房具、電波の分配器、除算器などがこの名で呼ばれる。 参考:ウィキペディア

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