第14話 隠す仕掛け

十年程前の話

雪が残る頃の事、知り合いの建設会社から話があった。

そこの会社が請けた物件なのだが、入った業者が逃亡したとの事。

その業者素人集団だったらしく、解体の手順も何も知らず適当に解体してあった。

入ってびっくり、一回部分の床が全部解体済みで無かった。

普通床は最後なんすけどね。

天井がそのまま、壁もそのまま、どうしろってんだー!と請けた会社に苦言を呈する。


足場になるものを用意してもらい、最初は天井から、全室落とす予定でした。

玄関入って左側に、変な間取りの和室があって、誰も入りたがらないんですよね。

自分も嫌でしたから。

でも、仕事ですからその和室やりましたよ、

何となくね、天井板の一部が光ってるんですよ、目の錯覚かと思ったんですが、

目の錯覚も考え、若い衆を呼び天井を指差し「あれ何に見える?」と聞くと、

「俺目がおかしくなったのかな、天井の羽目板が光ってますよね」と

つまり、誰でも見える現象。

とは言え、壊さなければ進まない。

その若い衆に押し付けて監督に徹する事にした。

嫌な顔と素振りでしたが無視してやらせる、

離れた場所に切り込み入れて、天井を開けてみましたらね。

位置的に大黒柱の上ですね、祭壇が組まれてました。

「うわぁ~~~出た!」と叫んでましたね。

見るからにヤバい感じがしましたが、一応確認しました。

自分で触りたくなかったものですから、若い衆にその祭壇を下ろしてもらう。

この手のは、あの御方を呼ばないといけないので、元請けと相談する。

「今後ここの仕事で支障を来たさない為には、多少のお布施が必要です」と

でもね、信じてくれないんですよね、実害が出てないからね。

職人は縁起を担ぐので、もう手が出せませんよ。

渋る元請けを唆し、先生を呼ぶ事にした。


先生曰く、「あれは効果切れてるから、そのまま棄てて構わんぞ」と嬉しい事を言われた。

でも、ほら、触るのはね。

なので若い衆に、処分をやらせた。

若いのが祭壇を壊すと、「うわぁ~~~」と悲鳴が。

どうした?と聞くと「中に髪の束が入ってた」と。

先生がニヤニヤしてたのが解ったけど、敢えてスルー。

折角呼んだので、他に何かあるかな?と聞くと、

「そこの漆喰壁壊してみろ」何かあるなと思いつつ、若いのに壊すよう言うと、

出てきた出てきた、漆喰壁の下に、また漆喰壁でそこに曼荼羅みたいなのが書かれてた。

先生が「やっぱりな、これも無効にしておくから壊せ」と、壁が落ちる。

その奥に小部屋が出てきた。

やっぱりそうか、中と外から見ると、部屋の大きさが違ってた、

隠し部屋あるんじゃないか?と思うY程度の広さだった。

5m×1m程度の部屋だった。

先生が、「結界張ってあるよ、ここの持ち主はマニア何だかよくわからんな」と

馬鹿笑いをしてたが、「開放するから、皆下がってろよ」と。

なにやら呪文を唱えると、中から空気砲みたいな重い空気の塊が噴き出してきた。

「中に鏡あるから、出して砕いてそのまま廃棄な」

若い衆に入らせる、壊すように指示。

「後は取り敢えず、問題は無いんだが、お前こんな仕事するなよ、ここまともに終わらんぞ」

やっぱりなと思ったので、元請けさんに適当に誤魔化して、早々に引き上げました。


ここで家の働き分の賃金は戴いたので、被害は無かったのですが、

結局この物件は、完成しませんでした。


元請け会社が倒産し、あの家も放火にあいまして、今は更地になっています。


そんな不思議な話



※このエピソードはコミカライズ予定はありませんので、こちらに掲載しました。

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