第13話 潜むもの
先日まで行ってた物件のお話
都内某所で、築30年超えの物件のリフォームを知人Kから頼まれた。
彼が業者から購入したそうで、全面リフォーム後に賃貸物件として貸す計画をしている。
部屋は南向きで眼前は川が流れ、駅まで徒歩5分、マンション2階部分、
近隣に病院や学校等申し分の無い施設。
築年数は心配だけど、まぁ良かろうと購入に踏み切ったそうだ。
古いタイプのマンションの間取りを、全部撤去し新規に造る。
特に何事も無く工事が進み、残す処一週間となった頃、
彼と不動産屋とお客がやってきた、彼曰く、この不動産屋からここを購入したと。
不動産屋は若い夫婦に、ここの物件を必死に薦めている。
旦那が玄関前からずっと、ビデオカメラを回していたのが印象的だった。
こちらは応対する必要もない為、作業を続行していたのだが、
旦那が隅々まで撮影したいと言うので、休憩にして職人を部屋から出した。
私は室内の説明の為に残る羽目に。
居室部分の押入れを開けた時の事、暖かいはずの室温が一気に下がった。
ゾクリと寒気に震えるあの感覚だ。
撮影してた旦那も震え、お互い顔を見合わせたものの、「見なかった事にしよう」と納得。
変化が起きたのは、彼らが帰った後からだった。
自分と数名の作業員しか居ないはずなのに、数名増えた気配がする。
誰が何処をやってるか解ってる訳で、増えれば気がつく、足音も聞こえる。
しかし、休憩時に確認すれば生身の人しか居ない訳で、気配だけのはアレだなと納得。
翌日の事、前日に来た旦那がビデオカメラを持って来た。
「コレ見てください!」とカメラを突き出すので見ましたよ。
件の居室の押入れ、あそこにしっかり写ってました。
見せると「だろ?」って顔をして「ここは無理なんで、今から断ってきますよ」と告げると帰られた。
結局、見た目だけは綺麗に成ったが、実の処、先住のヒトは居た訳ですね。
今も絶賛募集中だそうですが、彼も思惑が外れ、ローンに追われるハメになるんだろうなと思いつつ、
敢えて何が在ったのかを教えない私もアレですが。
と、まぁ、最近こんなことがありました。
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます