第12話 鳥居のある場所

関東某所

その場所は異様さに目を引く。

住宅と住宅の間に石造りの鳥居が立っている。

廻りの住人もそれがそこにあると認識しつつ、当たり前の風景なのか、騒ぐこともない。


現状は鳥居を挟む両隣の住宅は空っぽ、住人が住まわない場所。


鳥居の東側1km程先に神社はあるのだが、それだと参道全てに住宅が建っている事になるが、

神社に近い住宅地は特に目立った変化は無い、参道な雰囲気も史跡も見当たらない。

鳥居のある住宅ブロックだけが、多々の怪異が報告されている。


何故疑問に思ったかの話になるが、その近所で倉庫を借りるかと探していた時期で、

倉庫よりそっちの方が気になってしまった結果、その界隈で倉庫は借りる事は無かった。

結果的にだが、そのエリアにて借りなくて正解であった。


興味からの行動力ってのは、改めて考えると凄いなと思う。

1km先の神社へ向かい、お話を伺いつつ、その神社の代々の敷地を絵地図にしたものや、

区割り地図等を見せて頂いたが、件の鳥居は何処にも表記されていなかった。

鳥居の話をした所、神社の方の表情が変わったのを見逃さなかった。

何でも同時期に、まるで対になるように現在残る鳥居を一の鳥居とし更に西に神社があったらしいとの話を聞いた。

どんな建物であったか、何を信仰していたか記述されたモノは無いとのこと。


そんな訳で、所在地の図書館へ行ってみた。

調べた結果、確かに神社は存在してたが、何を祀ってあったかまでは出てこない。

昔の絵地図的なものに、その神社と先に話を伺った神社は描かれていた。

いつ無くなったか等の情報は一切無い、今も残るは石造りの鳥居。

その住宅地のブロックは、今も影響を受けているのか、薄ら寒いんですよね。


これを調べたのが、約8年前の事。

倉庫の件が鳥居付近から流れた為、近づく事も無かったので、ストリートビューで確認はしていた。

ストリートビューには今も、家と家の間に鳥居はある。


少し前、渋滞にハマり、裏道を抜けに鳥居のあるエリアを通った時の事。

あの場所に近づくと、鳥居が無かった、左右に建っていた住宅もその付近一帯が更地になっていた。

果たして何があったのか、それ以上は探る気はしない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る