第06話 大道具セット

最初に聞いたのは12年程前の話


昔なじみのTさんに「たまには来い」と呼ばれて行ってきた。

現役時代は、映画の大道具をやられてた方で、テレビが主流になったら、

映画とテレビ両方で活躍されていた。

そんな方が撮影の現場で遭遇した、変な話や怪異を色々話して頂いた。

ご当人の許可は得ているので、その内の一つを公開。


ある映画の撮影の際、時代劇の町並みと社寺も作ったそうです。

その話は、撮影が終わり、町並みを解体した時の事。

既に撮影の為に、一年近く建ててあったから、「何かが棲み着いてたのかね」と言われてた。

神社のセットを壊す段になったら、仲間が怪我をする、それも本殿を触った奴が怪我をする。

怪我はそれ程、重篤では無いが作業に支障の出る指先や手が多い。

その時のセットは、宮大工を入れて作ったセットだから、「本殿に何かが宿ったのかもな」と言ってた。

なので、作った宮大工を呼び、解体をお願いしたら、怪我無く難無く解体が出来た。


残るは鳥居だが、これも関わると怪我が耐えなかった、鳥居に使った材木が悪かったらしく、

神主にお祓いをして貰ったら、それ以上の障りも無く解体した。

「だがな、そこからまたあったんだよな」

若い衆の一人が、形ある鳥居を気に入り、廃棄になるならと持ち帰ったんだよ。


持ち帰って翌日、若い衆は現場に現れなかった。

どうしてたかって?

そいつはさ、持ち帰った鳥居を、自分の家の庭に設置してよ、ロープ巻いてな、吊ってたよ。

俺は真っ先に神社行って神主に、詰め寄ったさ。

「お祓いは完璧じゃなかったのかよ」とね

そうしたらよ

「本殿と鳥居の元になった木は完璧でしたが、それ以外は言われませんでしたし」だとさ


そんな変な話ならあったけど、お前さん好きな話だろ?

それに聞いたら、多少の手を入れて出す気だろうから、

名前やら伏せてくれたら構わんよ


と、こんな感じで、お話頂いた。


まだまだ、この方のお話はあるので、まとめてみようかと思います。




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