第04話 視るモノ

知人のN子さんから聞いた話。

N子さんは会う度に周囲を警戒している。

まるで忍び足で近づくスパイの様に。

それが癖では済まないだろう思うくらいの頻度だ。

余りにも頻度が高い為、疑問と知りたい欲求に耐え切れずN子さんに聴いてみた。

すると彼女は、こんな話をしてくれた。


「それに気づいたのは、確か十代後半かな、大学へ通っていた頃よ」と彼女は言う

最初は単に見られてるんだな位だった。

それは誰でも感じるモノでしょ?

体型が大柄だったり、特徴が目に見えて明らかだと目線が行くじゃない。

でもね、私に向けられてるのは、何て言うのか温度があったのよ。

それも、とっても熱いのね、目に見えない透明な熱いチューブでも巻きつけられてるそんなイメージかな。

電車での通学も、大学内の講義中も視線を感じてたと言う。

どうしても気になって振り向いたらね、何か影みたいのが隠れたのよ。

友人に相談したら、皆が捕まえるって話になってね、学内で網を張ったのだそうだ。


「ところがね、すばしっこい奴でね、男の友人6人にお願いしたのだけど逃げられちゃったのよね」

それでも、2回3回と繰り返す内に、疲れたのか解らないけど、逃げ遅れたところを捕獲したの。

同じ大学の人でね、上の学年の人だったよ。

ぱっと見は普通の人なんだけど、どうにも目が嫌だったのよ。

粘っこく絡みつくあの視線だったわ。


年上だけど嫌な感じがしたし、何より近づかれたくないから、その人から一筆取ったの。

やってることがストーカーだったからね、次に何かアクションを起こしたら、

警察に通報するからね!と


よくある話だなと思いつつも話を促す。

「一年頑張ったの、さすがに私でも怒るわよ」

前回捕獲に協力して貰った男子にお願いしたそうだ、しかしだ。

「信じられないのだけど、ストーカー先輩は狡猾に逃げてしまうのよ」

先読みされてたって事?と問う

「違うのよ、今そこに居たとして、追いかけたら消えているのよ」

おかしいのよねと溢す

「何度も逃げられていた時に、一人の男子から変な話を聞いてしまってね」

展開ありだな(心の声)

「実はストーカー先輩が半年前から消息不明で、一週間前に発見されたって」

一つの答えに繋がる

「つまり、そのストーカーは既に亡くなっていると、なのに今でも追いかけられている」

で間違いないかを問う

「間違いない、今でも陰湿な視線を感じるもの、ゾクゾクするわ」

(そっちに目覚めたんかい)

念の為いつも一緒にいる女性に聞いてみたが、一緒に居るとたまに寒気する模様。

つまり、その視線は鬼籍に入った人物が、今でも付け狙っているのかな。

N子さんから、特に助ける相談は受けなかったので、今でも視線に狙われています。





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