休日。


「お待たせーーっ」

「遅刻厳禁!」

「えー、十分は遅刻じゃないよね、ね、向日葵!」

「流石にセーフは5分までじゃない?」

「5分も10分も遅刻!」

「すいませーん」


今日は土曜日。そして、初めて帆希ほまれ、みつきと遊ぶ日だ。こんなに仲が良いのだから、一緒に遊ぼうとなって、学校外で会うことに、なぜか少し緊張していた。でも、いつも通りの三人だ。みつきは遅刻して、帆希が怒って、私は巻き込まれた。駅前で、お昼を食べて、ぶらぶらすることになっている。すでに楽しい。


「とりあえず…お昼食べにく?」

「あり!お腹すいたー」

「どこ行く?」


会話がどんどん弾む。


「あ、新しくできたとこ、行かない?」

「混んでないかなー」

「時間あるし、並ぼうよ!」

「まぁ、なんたって、向日葵の大好きなオムライス屋さんだもんね!」

「へ、うん!さすが二人だね!」


私の大好物、オムライス。駅前に、2週間ほど前に新しくお店が開いた。これは行くしかない、と思っていたが、こんなにはやくこれると思っていなかったので、テンションがぶち上がっている。私たちは、そのお店へ向かった。


「思ったより並んでないよ」

「4、5人だね。意外とすぐ行けそうだよ」

「よかったー、めっちゃ楽しみ」


普段学校でするような話を、学校外でするのに、この二人のおかげで違和感がなくなった。友達と遊ぶなんて、あまりないから。行って、無言になるのが怖かった。でも、そんなに怯える必要はなかった。



「うんまぁ〜〜〜!!!」


ここのオムライスは、絶品だ。


「うん、これはうまいよ」

「来て良かったよ!」


ふわっふわの、黄色い玉子。べちょべちょしていない、かと言ってぱらぱらすぎない、絶妙なケチャップライスのお米同士の繋がり。家では再現できない。


「すぐ食べ終わっちゃった」

「おいしすぎ」

二人とも、とても笑顔だ。よかった。みんな楽しくて。


「次は、プリクラ撮りに行こうか!」

「プリクラ!どの機種が一番盛れるの?」

「そんなに詳しくないよ〜」

「大体同じ機種で撮るなぁ」

「私も」

「私はプリクラなくても可愛いけどね?」

「じゃあ無加工顔面ドアップみつきでも?」

「やめろ」

「いや、私が一番可愛いんだけど」


そうこう言っているうちに、ゲームセンターについた。最終的に、帆希がいつも撮っている機種にたどり着いた。驚くほど盛れた。「別人じゃん」「あんたもだろ」と、大笑いした。プリのシール。三人の、おそろい。


「三人で、おそろいだね!」


嬉しくなって、そう言った。

別に、心友ができたことがないわけではないが、みつきと帆希とは、何か、これまでとは違う、嬉しさがあった。


「おそろい!いいね!キーホルダーとか買っちゃう⁉︎」

「めっちゃいいじゃん!学校につけていこうよ!」

「探そう探そう‼︎」


駅前の雑貨屋さんを、全制覇する勢いで、キーホルダーを探した。でも結局、悩みに悩んで行き着いたのは、ガチャガチャだ。今流行りの、ぬいぐるみ系のキーホルダーだ。


「洋食屋のぬいぐるみ、だって」

「オムライス、食べてきたしね」

「これにしよ!」

「じゃ、私から引いていい?」

「オムライス狙い、頑張って」


私は、100円玉を3枚、オムライスと唱えながら投入し、オムライスと唱えながらハンドルを回した。


「どう?」

「…オムライスだ!!」

「よかったじゃん!私も早くひこ!」

「うんうん」


素朴な顔が縫われていて可愛い。


「え!私もオムライスだ!」

「え⁉︎ 私もオムライスなんだけど!」

「三連続じゃん!こんなことあるの⁉︎」

「いいじゃん、本当におそろいだね」


そう言って、三人で、また大爆笑した。


楽しい時間は、すぐに過ぎていった。

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