「帰路」
学園をあとにした僕と橘さんは、二人で帰路に就く。
「久しぶりにあったね、橘さん!」
僕はできるだけの満面の笑みで橘さんに話かかける。
すると橘さんはバツが悪そうにしていった。
「その…さっきはごめんね?急に抱き着いちゃったからびっくりしたでしょ?」
当たり前だ学園の天使に後ろから抱きつかれるんだぞ?
びっくりしない男がいるか!
思っても口に出さないのが男の余裕ってやつである。
「びっくりしたけど、久しぶりに橘さんと触れ合えて、その…嬉しかった?かな」
自分でも何言ってるのかよくわからないが、橘さんは顔をうつむけたまま、
「そ、それならよかったです…あの一つお願いがあるんだけどいいかな?」
やばいどうしよう。何か気を悪くするようなこと言っちゃったかな…
僕みたいな陰キャはもう近づかないでくれる?って言われるのかな?
「なんで、ソワソワしてるのかわかんないけど、下の名前で呼び合わない?蓮くん」
「…、っ!」
急に下の名前で呼ばれたからびっくりしてしまった。
僕みたいな陰キャが、下の名前で呼んでいいのか?
だけどここで勇気をださないと、なんのための小学校、中学校生活だったんだ!
「わかったよ、柚月、これから仲良くしてくれると嬉しいな!」
「ありがとう蓮くん!こちらこそ仲良くしてね!」
そうして僕たちはお互いの存在を確認しあうように、互いの家へと帰っていった。
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