おバカな鳥さん、がんばって!
一羽の鳥さんが、大空を飛んでいました。
この鳥さんはホントにおバカで、食べることも休むこともせず、ただただ空を飛んでいるのでした。
どこに行ったらごはんが食べられるか?
どこに行ったら体を休められるのか?
おバカな鳥さんにはわかりません。
しかもこのおバカな鳥さんは、ずっと同じの方向にしか飛べないのです。――ダメダメなのです。
おバカな鳥さんが生まれた場所には、食べる場所も休む場所もちゃーんとありました。
でも、おバカな鳥さんはバカだから、もどればいいのにもどりません。
「おなかすいたよー!」
おバカな鳥さんはおなかがすきます。
「つかれたよー!」
おバカな鳥さんはつかれてしまいます。
「家族に会いたいよー!」
おバカな鳥さんはさびしくなります。
そんなことを思っても、おバカな鳥さんは飛びつづけるのです。
――でもです!
地球は丸いから、飛びつづけたおバカな鳥さんは、一周まわって生まれた場所に帰ってきたのです。
でも、やっぱり……
おバカな鳥さんはバカでした。
バカなので、とまることができないのです。
おバカな鳥さんが下を見れば、生まれた場所からまた新しい鳥さんが飛び立ちます。
おバカな鳥さんは新しい鳥さんに教えます。
「ちゃんとごはんを食べようね。」
「うん、わかった!」
「ちゃんと体を休めようね。」
「うん、わかった!」
「迷ったら方向を変えるんだよ。」
「うん、わかったよ!」
「困ったら生まれた場所に帰ろうね。」
「はーい!」
「なによりたまには、飛ぶのをやめてとまるんだよ。」
「うん! ありがとう!」
おバカな鳥さんは自分と同じようにならないように、そう新しい鳥さんに教えてあげます。
だから新しい鳥さんは、とてもかしこくなりました。
新しい鳥さんはごはんも食べるし、体も休めます。
迷ったら飛ぶ方向を変えて、それでもダメなら生まれた場所にちゃーんともどっていくのでした。
でも、やっぱり……
おバカな鳥さんはバカなのです。
新しい鳥さんにはそう教えるのに、おバカな鳥さんにはそれができません。
おバカな鳥さんはまた、ずーと同じ方向に向かって大空を飛んでゆくのでした。
――でもです!
地球は丸いから、飛びつづけたおバカな鳥さんは、一周まわって生まれた場所に、また帰ってきたのです。
でも、やっぱり……
おバカな鳥さんはバカでした。
バカなので、とまることができないのです。
おバカな鳥さんが下を見れば、生まれた場所からまたまた、新しい鳥さんが飛び立ちます。
「たまには、飛ぶのをやめてとまるんだよ。」
「うん! ありがとう!」
そしてまたおバカな鳥さんは新しい鳥さんに、自分と同じようにならないように、やさしくいろんなことを教えてあげます。
でも、やっぱり……
おバカな鳥さんはバカなのです。
とまらず、そのまま飛びつづけます。
そのうちに……
おバカな鳥さんが生まれた場所は、新しい鳥さんたちがたくさんいるようになりました。
だっておバカな鳥さんがいろんなことを新しい鳥さんたちにやさしく教えてくれたから、新しい鳥さんたちはごはんも食べるし、体も休めます。
迷ったら飛ぶ方向を変えて、それでもダメなら生まれた場所にちゃーんともどっていくのです。
だから……
おバカな鳥さんが生まれた場所は、新しい鳥さんたちがたくさんいるようになりました。
新しい鳥さんたちは、とてもかしこくなっています。
だからおバカな鳥さんが生まれた場所にもどってきたときに、お礼をするようになりました。
「ごはんだよ、おバカな鳥さん!」
おバカな鳥さんにごはんを食べさせてあげます。
「体を休めてね、おバカな鳥さん!」
おバカな鳥さんをひっぱって、体を休ませてあげます。
「ありがとう、新しい鳥さんたち!」
「いえいえ。おバカな鳥さんがいろいろ教えてくれたから、ぼくたちとても幸せです。」
そんな風にみんなでお礼をするのです。
それでおバカな鳥さん元気になって、また大空を飛んでゆくのでした。
そのうちに……
おバカな鳥さんが生まれた場所にもどってくるときに、新しい鳥さんたちも生まれた場所に集まるようになりました。
おバカな鳥さんが帰ってくると、新しい鳥さんたちはよろこびます。
よろこんで、お祝いして、おバカな鳥さんにごはんを食べさせて、休ませてあげるのです。
そしてまた、次におバカな鳥さんが生まれた場所に帰ってくるのを、みんなで応援するのです。
「おーバカぁな鳥さーん、がーんばってーぇ!」
みんなに応援されて元気になって、おバカな鳥さんはまた大空を飛んでゆきます。
次はいつおバカな鳥さんは、帰ってくるのでしょうね。
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