第174話・変化した兄上
何となくダラダラと歩き続けて教室に向かおうとしていて気が付く。
あれ?俺の教室何処だ?
落ち着いて考えたら俺この学園に始めて来たし、王族だし形式上は何処かのクラスに名前と席が存在しているんだろうけど、自分のクラス知らないや。
分からねぇな。
どうしようか?なんか途端に面倒だし帰ろうか?
いやでもイトもカレーヌもルンルン気分だったし、これで俺が勝手に帰るのも流石になあ・・・。
とはいえ俺の通ってるクラス知ってそうな人って誰だろう?
一人でどうしようかと悩みながらダラダラ歩いてる時だった。
俺の兄である第二王子と異世界からの転生者であるセッカの二人とばったり出くわした。
「ん?グレンか?何でこんな所にいる?お前、学園なんて来るような人間じゃないだろ」
俺が怠惰であり、今まで学園になんて一度も行ったことがないことを第二王子は知っているので驚いたような声をあげる。
「まあ、何だ。楽しそうだし行ってみようかなって気がしてさ、別にいいだろ俺が学園に来ても、一々面倒くさい」
「それは、まあそうだけど・・・いや、何というか最近変わったなグレン」
「どうしたんですか兄上、そんならしくもない台詞を吐いて」
俺の中の第二王子のイメージとして俺にもっと敵意を抱いてると思ってたけど。今はまるでそれが感じられない。
「まあ、何だ、俺も色々あったんだよ。そういえばグレンにはしっかりとした紹介をしていなかったな。
今隣にいるのが俺の婚約者であるセッカだ。現在国王であるマリア様からも許可は貰っている。
一応形式的にはお前の姉になるな。まあ、とはいえ余り関わる機会はないだろうがよろしく頼む」
因みにセッカは俺の力を知っているし、ゲームの世界であった時のこの世界の情報も知っている。
その眼は明らかに俺に対して恐怖を覚えていた。まあ無理もない。色々あったからな。
しっかし、何だかんだで第二王子と上手くやってるんだな。魂見る限り割と幸せそうだし、一応弟として嬉しい話ではあるな。
「そうか・・・。祝福するよ。おめでとう兄上」
優しく拍手をする。
「おう。ありがとう。じゃあグレンもイト師匠とカレーヌ将軍とマリア様との婚約おめでとう」
「あ、ありがとう」
マジで本当に第二王子変わったな。
何というか普通に良いお兄ちゃんだ。
いや、違う。変わったんじゃなくて戻ったのかも知れないな。
幼少期から悪意ある貴族や大臣、母親の手によって洗脳されて傀儡の王として期待された哀れな傀儡。
それが意図した形ではないが俺の手によって悪意から解放されて、自分で考えて自分で行動出来るようになった。
だからある種今の姿が本来の第二王子、いや、兄上ってことか。
まあ、隣にいるセッカの影響も大きいとは思うけどね。
「兄上、何か困ったこととかあったら言ってくださいね。出来る限り力にはなりますよ」
色々あったけど、兄上は血の繋がった兄弟だ。
もちろんクズだったり気に喰わなかったら平気で見捨てれるけど、今の兄上ならば多少は面倒でも力になってもいいかな、そう思えた。
そんな俺の言葉に一瞬ポカンとような表情を浮かべた後に大きく笑う兄上。
「ハハハハハ。そうか、それは嬉しいな。ありがとうなグレン。
まあ天魔を三人も妻に迎えている今のグレンに困ることなんてないだろうけど、俺も一応は兄として、何か困ったことがあったら力になるぜ」
「あ、今丁度自分の教室が何処か分からなくて困ってた所なんだ。兄上は知っていたりするか?」
「すまねぇ。流石に知らないな」
「あ、私覚えていますよ。良かったら案内しましょうか」
セッカが小さく手を挙げて発言してくれる。
「それはありがたい。よろしくお願いするよ」
「はい。じゃあ私についてきてください」
「じゃあ、俺もついてくか。一緒に行くぞグレン」
「はい」
かくして俺達3人で歩く。
本当に他愛もない雑談をかわしながら歩いていく。
暫く歩いたら教室に到着した。
「ここです。第五王子様」
「ありがとう。セ、姉上」
一瞬セッカと言おうとしたが、せっかくだし姉上と呼んでお礼をした。
「お役に立てたなら良かったです」
「じゃあな、グレン」
「はい。兄上も」
二人と別れた後、教室に入る。
教室にはある程度生徒が揃っていた。
いきなり教室に入った俺をる者は始めて見る顔に不思議そうな様子を露にし、ある者は俺と兄上の会話を聞いていたのか、俺があの第五王子だと警戒や好奇心の感情を向けてきた。
「おい。お前があの第五王子・グレン・ヤマダか」
かなりガタイの良い男子生徒が大股で俺の方に向かってきた。
明らかな怒気を含む声で俺を威圧する。
ただ、天魔である俺にとってその威圧は威圧ですらない、そよ風以下の何かだ。
「そうだけど?何か問題でも?」
「そうか。じゃあ死ね」
そう怒鳴って俺に拳を振り上げた。
その拳は俺に当たり、男の拳が砕けた。
天魔である俺の肉体を拳のみで傷つけるとなれば、それこそ同じ天魔でないと不可能であり、攻撃を受ければ伝説の聖剣なんかよりも固くなる俺の皮膚に勢いよく拳を叩きつけた。
まあ、砕けるのは当たり前だよなって話だ
「ハア、いきなり絡まれるとか面倒だな?治安終わってるだろこのクラス。面倒くさい。
で?俺の席は何処?」
クラスメイト達が顔を見合ってから、教室の一番左端にある空いてる席を一斉に指さしした。
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なんか、書き始めたら書けたし楽しかった。
あれだけスランプに陥って書けなかったのに。人間って不思議。
でもほら、よく言うじゃん、やる気なくてもやりだしたらやる気が出るって。
多分それと同じだと思う。
という訳でまた、スランプに陥るまでは書いていこうと思います。
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