第156話・偉い人の事情で国民が巻き込まれるのは間違っている
俺は自分で動くかと思った後、ふと、今回の件を一応真希に報告した方が良さそうだなと判断をして、気が付く、そういえば俺から真希に連絡する手段なくね?
と。
思い返してみれば面倒くさがりの俺から真希の元に向かった記憶はないし、大体向こうから会いに来てくれていた。
そんで、一緒の喋ったり本を貸し借りし合う関係だ。
そんな真希は常に移動していて何処にいるか分からないし、愉快犯だから何をしてるかも分からない。
割と真面目に行動性に一貫性というものがないのが真希だ。
・・・・・・・・・
さて、どうしようか?
まあ、いいや。真希に連絡しなくても、どっかのタイミングでどうせ真希は接触してくるだろうし、ワンチャンもう既に全部知ってる可能性もあるしな。
うん。気にするの方が面倒だ。これは後回しでええかな。
さて、じゃあ真面目に俺がどう動くかについて考えようか。
今回の問題、帝国とバジリスク連合と魔王が同盟を結んでヤマダ王国を攻め滅ぼそうとしてくる件について、一番厄介なのは魔王だ。
これは確定だ。
理由は至ってシンプル魔王が一番強くて、流石に本気で戦えば俺が勝つとは思うが、それでもこの世界最強である俺と1対1で戦える化け物だからだ。
少なくとも魔王以外の天魔、帝国やらバジリスク連合にいる天魔が全員でかかってきても俺の手にかかれば数十分程度あれば全滅させることは可能だろう。
俺にはそれくらいの力はある。
ただ、魔王と戦うとなれば、数時間、下手をすれば丸一日以上かかってもおかしくはない。
その上戦闘の余波もかなり出るだろう。もしもヤマダ王国が主戦場になりでもしたら、戦闘が終わることにはヤマダ王国は更地になってるだろう。それは絶対に駄目だ。そんなことになったら俺が負けたのと変わらない。
魔王っていうのはそれだけの化け物であり、この世界においては俺と真希に並ぶレベルの最強だと思う。
少なくとも様々な本を読んで推測される魔王の能力と少し前にナナが話してくれた魔王との戦闘からそう推測できる。
ナナが魔王に勝てたのは勇者という魔王特攻SSSSSSSSみたいな、魔王に対して殺意がマシマシであったからであって、多分今の忠光の天魔であるナナが魔王と戦っても文字通り瞬殺されると思う。
そのくらい魔王は強い。
そして何よりも厄介であり不確定要素であるのが魔王が今は憑依者によって魂が乗っ取られているという事実だ。
しかも、この世界の未来を知っている&この世界よりも進んだ文明知識を持っている憑依者だ。
何をしでかすか分かったもんじゃない。
もしかしたら、憑依者は戦闘面からっきしで本来の魔王よりも弱体化しているという可能性はあるが、そんなのはあくまで希望的な観測だ。
魔王は力をつけていると判断した方が無難だろう。
あ~、どうしようかな。
魔王を暗殺とか出来たら楽なんだけど、ナナ曰く、常に探知魔法と防御結界を使用している魔王に暗殺なんて出来ないだろうな。
いや、待てよ。
別に魔王を暗殺する必要はなくないか?
確かに一番の脅威は魔王だ。魔王だけど、別にバジリスク連合と帝国が脅威じゃないというわけではない。
腐っても大国であり、数多くの天魔を抱えているんだ。敵対してこない方が良いに決まっている。
だから、こうしようではないか。
ネズミ眷属を使って、帝国とバジリスク連合でヤマダ王国を攻め滅ぼそうと考えている過激派の貴族やら大臣を片っ端から暗殺してこう。
そんで、護衛が多くてネズミ眷属で無理そうならカゲウスを派遣すればいい。
暗殺した後は適当に【ヤマダ王国を滅ぼそうとする愚か者に天罰を】って書かれた紙でも置いとけばええし。
おお、何というか完璧だなこれで。
そうすれば後は勝手に向こうが怖がってヤマダ王国を滅ぼそうなんてしなくなりそうだし、同盟関係も破綻しそうだ。
同盟が破綻すれば、残りは魔王だけとなり、魔王が諦めて動かなくなったらそれでよし。それでも動こうとするんやったら、魔王が動く前に俺含む眷属全員で魔王城に凸ってフルボッコにしてやればいい。
セリカがいるんで聖教国側の天魔も連れてこれるし、魔王城のお宝を対価にすれば商人の天魔もついて来そうだし、ワンチャンどころか普通に天魔連盟も協力してくれるだろう。
こんな天魔のオンパレード、世界を滅ぼせそうなメンツが揃えば魔王くらい余裕だな。
うん。
何となくこれで行けそうな気がして来たぞ。
何より、この場合は俺への負担がほとんどない。最悪魔王戦も俺は後ろで適当に補助しながら戦闘を眺めてるだけで終わりそうだ。
よし、早速ネズミ眷属とカゲウスにこのことを伝えて、伝え終わったら寝ますか。
後は野となれ山となれ。
まあ、多分なんとかなるやろ。知らんけど。
――――――――――――――――
主人公の割と適当な判断のせいで、帝国とバジリスク連合の過激派(偉い人)が地獄を見ることが確定しました。めでたしめでたし。
因みに主人公の中で今回、明確に言葉にはしていないですが、絶対に国民は巻き込まないようにしようというのがあります。
何故かといえば、もし仮に戦争なりが起きて巻き込まれてしまった国民の中に自分の大好きな小説を書いてる作家さんがいたら嫌だからです。
小説大好きの主人公からしてみれば、そこは絶対に譲れない点であります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます