第154話・外伝・カゲウスは魔王を調査するそうです 後編


 マリア、いやグレン様からの命令で魔王の調査をすることとなった俺はすぐさま、魔王城へと向かった。

 死に戻りでの莫大な経験とあの頃から大幅に上昇した実力のおかげで、かなり容易く魔王城に侵入することが出来た。

 侵入したら、魔法を全力で使って限界まで自分の存在を薄くした上で、影魔法で陰に潜りながら魔王を探す、僅か1時間程で見つけることが出来た。

 それから、影に潜みながら魔王の調査を開始した。

 

 魔王の調査を開始してから1日目

 魔王はひたすらに女魔族、それも人型の女魔族と淫らな行為に及んでいた。

 警戒心のへったくれもありゃしない。

 必死に腰を振っている。


 正直言って俺の知っている魔王の姿からはこれでもかとかけ離れていた。

 少なくとも俺の知っている魔王は情欲に溺れるような存在ではなかったし、持っている欲求でいえば人間に対する殺意のみっていう感じの、正に人間にとっての絶望を具現化したような存在だった。


 こんな、楽しそうに女魔族と淫らな行為に及ぶような馬鹿ではない。

 

 一体、何があったのだろうか。

 いや、もしかしたらカモフラージュの可能性があるかもしれない。誰かに監視されている可能性を考えて敢えてそういう行為をして捜査をかく乱するつもりか。

 取り敢えず何かしらの情報が見つかるまで監視を続けていこう。


 魔王の調査を開始してから2日目


 魔王は今日も今日とて女魔族と淫らな行為に及んでいる。

 ずっと淫らな行為に及んでいる。

 淫らな行為をやめる時はそれこそ無駄に豪華な飯を食う時で・・・、いや女体盛りやらワカメ酒なんていう馬鹿なことをして、飯を食う時すら淫らな行為に及んでいる。

 やっぱり俺の知ってるあの冷酷無慈悲な最強最悪の魔王は何処に行った?


 今日も今日とて同盟に関する情報は得られなかった。


 魔王の調査を開始してから3日目


 魔王は、女悪魔と淫らな行為に及んでいる。

 女魔族から女悪魔に変わっている。


 ・・・・・・・


 まあ、そこまで大きな変化はない。

 

 結局1日中、淫らな行為に及んでいた。


 魔王の調査を開始してから4日目


 今日も今日とて女悪魔と女魔族を集めて淫らな行為に及んでいる。

 ずっと淫らな行為しかしてないし、それを監視している俺の気も少し狂ってきたし、もしかしたら重要な書類とかが魔王城に隠されているかもと思い。魔王城を隅々まで調べることにした。


 取り敢えずちょくちょく魔王の所に戻って監視をしながら、魔王城を調べ回った。


 魔王の調査を開始してから5日目


 今日は魔王が女魔族同士で淫らな行為に及ばせて、それを眺めて楽しんでいた。

 そういえば、昔なんかの本で読んだことあるな、確か百合?というやつだったか、なんて馬鹿なことを思いながら、結局魔王は1日中、百合?を眺めて楽しんでた。

 魔王城に何か書類、ないし、同盟に関わってきそうなものを探したが見つからなかった。


 魔王の調査を開始してから6日目


 何故か魔王が女の子に見間違えてしまうレベルの女性らしい容姿をした、幼い魔族?や幼い悪魔?と淫らな行為に及んでいた。

 余りにも理解の出来ない行動に脳が侵食されるような気分になった。


 あれ?本当に魔王だよな?


 俺を1000回以上も無慈悲に殺し続け、人間を殺戮して高笑いを上げていた魔王だよな?


 ・・・・・・・


 なんか、魔王の影武者な気がして来た。

 でも感じる魔力や力は確実に間違えようのないレベルであの最強最悪の魔王ではあるので、あの魔王と同一人物で間違いはない筈。・・・筈。


 今日も今日とて有用な証拠は見つからなかった。


 魔王の調査を開始してから7日目


 魔王がペンを手に取り、何かを必死に書き出した。

 ようやくかと思い、その文章を透視の魔法の視力強化の魔法を使って読んだら、淫らな行為についてだった。

 魔王の知っている淫らな行為について長々と書かれていた。


 余りにも意味が分からさ過ぎて俺は影の中で吐いた。


 今日も今日とて何一つ有用な情報は見つからなかった。


 魔王の調査を開始してから8日目


 魔王は女魔族と淫らな行為に及んでいる。

 もはや見慣れ過ぎて何とも思わなくなってきた自分に軽い恐怖を覚えて来た。

 魔王だけあって、体力も精子力も最凶?最強?なのか、1日中ずっとやってる。

 飽きもせずようやるなと思いながら、今日も今日とて俺は魔王城を調査するが何も情報を得られなかった。


 魔王の調査を開始してから9日目


 魔王が調査6日目に掘っていた、女性と見間違えんばかりの幼い魔族?や幼い悪魔?に掘られていた。

 幼い魔族?や幼い悪魔?の中には、俺のよりも立派なというか人体の構造上あり得るかってレベルの物の持ち主がいて、何というか男として自信を無くした。

 俺は影魔法の中で一人泣いた。

 なお、魔王は恍惚とした表情を浮かべており、それを見た俺は普通に吐いた。

 今日も今日とて何も収穫は得られなかった。


 魔王の調査を開始してから10日目


 何故か、本当に心の底から意味の分からないことに魔王が魔法を使って女体化してミノタウロスと淫らな行為、というかオセッセに及んでいた。

 意味が分からないとか、そういう次元のレベルじゃなければ、あの最強最悪の魔王が、あの化け物が、何をしてるんだという気持ちが大きすぎて、脳が処理しきれずに俺はまた、吐いた。

 吐いて吐いて吐きまくった。


 何で俺こんなことしてるんだろうという謎の気持ちに襲われるレベルで俺は吐いた。

 その後、しょうがないこれも仕事だと、もう一回しっかりと女体化した魔王を見て、想像以上に女体化した魔王が美しいという事実を理解してしまった。

 肌は黒に近い褐色で胸も尻もかなり大きく、髪は黒色の長髪で身長は2メートル以上とかなり大きいが、ミノタウロスが5メートルくらいあるせいで小柄に見えてしまう。

 女体化した魔王には不思議なことに羽やら角やらなく、人間の女性といっても、そこまで違和感はないレベルだった。


 そして俺はふともうずっと、致してなければ、一人で賢者になってないなと思った。


 ・・・・・・・・・・・・


 俺の目の前にはかつて、苦汁をなめさせられたなんてレベルでは言い表せない、文字通り1000回以上も俺を殺して、俺を地獄といってもいい目に合わせた魔王が絶世の美女の姿で、今の俺なら10秒もあれば殺せるミノタウロスに犯されていた。

 

 ・・・・・・・・・


 それが、何とも言えない劣等感のようなものを刺激した。

 興奮を促して来た。

 あの、魔王が、最強最悪の魔王が・・・魔王が・・・

 

 ・・・・・・・・・


 俺は、俺は・・・俺は・・・俺は・・・。


 ・・・・・・・・・


 気が付いたら俺は影の中で・・・・・・・・














  俺は賢者になった。


  ・・・・・・・・・


 手に付いた白色のアレを見る。

 魔王は相も変わらずミノタウロスと淫らな行為に及んでいる。

 気持ちよさそうに恍惚とした笑みを浮かべている。


「最低だ俺って・・・」


 影の中、俺はそう呟いた。

 呟いてしまった。

 俺は今、全力で自分の存在を消す魔法をかけている、音も出ないようにしている。

 ただ、声は不味かった。普通の相手だと気が付かないだろう。

 でも相手は魔王を、延々と淫らな行為に更けている色情魔の魔王だが、それでもあの勇者の力を持っていた頃のナナを一方的に蹂躙することが可能なレベルの化け物であり、最強最悪の人類の敵、たった一人で大陸すらも滅ぼせる天災以上の天災、下手な天魔を超える化け物の中の化け物。

 それが魔王なのだ。


 とどのつまりどういうことかというと、バレたということだ。


「誰だ」


 魔王の冷たい声が響く。


 ヤバい・・・ヤバい、ヤバい・・・ヤバい・・・ヤバい・・・ヤバい。


 殺される。


 明確な死のビジョンが見えた。


 俺はその瞬間に神器を使い、寿命を捧げて時を5分前まで戻した。


 全てがなかったことになった。


 時が戻った。


 戻った時では、女体化した魔王がミノタウロスに犯されている。

 否、ミノタウロスという低級の魔物(普通の町であれば簡単に破壊出来る程度の力を持った、超一流以上でなければ相手に出来ないような魔物)、を使ってある種の自慰行為に明け暮れている。

 そう、ミノタウロスは魔王にとって玩具と変わらないのだろう、自分を気持ちよくしてくれるただのお玩具いくらでも替えの効く玩具だ。

 その思った瞬間に背筋がぞわぞわと凍るような感じがした。


 そして俺は逃げた。


 グレン様からの任務はもちろん理解しているし、調査をしなければならないのは分かっている。

 ただ、何となく俺の勘が今すぐに逃げなければ殺されるという警告を鳴らしたのだ。

 だから全力でひたすらに俺は逃げたのだった。


 結局、今日も俺は何の成果も得られなかった。


 ああ、グレン様になんて報告しようか・・・これはもう「何の成果も得られませんでした~~~」って泣き落としするしかないな。


 ハア。最悪の気分だ。


 


 

 






 

 


 ――――――――――――――


 深夜テンションでとんでもないもを生み出してしまったのと軽い後悔中。

 今回、3つ程有名作品のパロディを入れているという、問題作中の問題作です。

 運営から怒られたら消します。多分怒られないと思う。多分・・・多分。多分。

 あれ?自信がなくなってきたな。

 まあ、はい、一応結構露骨な描写はしてないし、ちゃんとタグもつけてるから問題はないと思う、パロディは結構分かりにくいのもあるし。うん。大丈夫。大・・・丈夫?多分。はい。本当に誠に申し訳ございません。

 どうか腹抱えて笑っていただけたら嬉しい限りです。

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