第148話・何で俺の身内って俺の想像を軽々しく超えてくるんだろう?


「グレン様大変でチュウ。【雷鳴の天魔】が死んでしまったでチュウ」

 昼頃、優雅に読書をしていたら、ネズミ眷属からとんでもない報告が入って来た。


 ・・・・・・・・・


「え?タンマ、【雷鳴の天魔】が死んだっていったか?」


「そうでチュウ。完璧に死んでしまったでチュウ」


「誰に?一応【雷鳴の天魔】って戦闘型の天魔であり、本人も戦闘狂として長年戦いに明け暮れている強者だぞ。そんな奴を殺せるってこの世界に十人と少しくらいしかいないだろ」


「それが、【透明の天魔】であり、グレン様の父上であるダリア様によって殺されてしまったでチュウ」


「おい、たんま。え?俺の父上が殺したの?」


「そうでチュウ。グレン様の父上が殺したでチュウ」


「何で?え?マジで何で?」


「偶々戦場で出会ってそのまま殺し合いに発展して殺したチュウ」


「いや、何?そのまま殺し合いに発展してって、戦闘狂じゃないんだからそんなことはって、あ・・・二人共戦闘狂やったわ・・・、マジか」


「マジでチュウ。グレン様どうするでチュウ?一応監視を続けるチュウか?ただ、どうしても【透明の天魔】なので、見失ってしまう時は簡単に見失ってしまうチュウ」


「確かにそうかもな。まあでもやれるだけやってくれ」


「分かったでチュウ。やれるだけやってみるチュウ」


「因みにだけど、いつ父上は【雷鳴の天魔】殺したの?」


「今でチュウ。本当に数分前でチュウ」


「あ、なるほどね、そんなタイムリーだったのか。となると、まだ【雷鳴の天魔】が死んだことはそこまで知れ渡ってない感じか」


「そうでチュウ。知れ渡ってないでチュウ」


「なるほどね。であれば今後起きそうな展開としては何だろうか。まず少なくとも帝国は天魔が一人減ったことによって揉めるだろうな」


「そうでチュウね」


「それに、まだ【透明の天魔】がヤマダ王国の前国王とはバレてないけど、もしもそれがバレたら、ああ、揉めそうだな・・・。マジで揉めそうだな。最悪戦争・・・うわあああ。どうするんだよこれ」


「そうでチュウね。それこそ最悪どころか普通に戦争になってもおかしくないでチュウ。ヤマダ王国が先に天魔を殺した戦争を吹っかけた、そんな危ない国を放置してられるかってなってチュウね」


「なりそうだね。凄くなりそうだ。バジリスク連合国と手を組んで、ワンちゃんどころか確定で周辺諸国も手を組んで超大連合VSヤマダ王国とかいう四面楚歌ここに極まれりのような状況になりそうだ」


「そうでチュウね」


「ハア、憂鬱だ。何でこうなるんだよ。俺はただ平穏に怠惰に暮らしたいだけなのに」


「グレン様が全部消滅させて世界の覇者になればいいチュウ。そうすれば面倒事なんて起きないチュウ」


「いや。それは面倒だからやらないよ」


「そうでチュウか・・・、いい案だと思うチュウのに・・・」


「まあいいや。俺は知らね、考えるのが急に面倒になってきた。きっと未来の俺がいや俺の優秀な眷属達が何とかしてくれるはずだ。多分。知らんけど。という訳で寝るわ。お休みなさい」


「お休みチュウ」

 かくして俺は全部を放り投げてふて寝をするのだった。






――――――――――――――


目が覚めると絶望で目が黒くよどんでいるマリアがいた。


「マリア、おはよう。大丈夫か?どうしたんだ。そんな目をして」


「師匠・・・、帝国が帝国が、魔王とバジリスク連合国と手を組んでヤマダ王国に攻めて来ました」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「は?何で俺がふて寝したらこうなってんだよ。クソが~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」



――――――――――――――――


 という訳で魔王介入です。

 ナナ(幼女)を自分のものにする為に帝国とバジリスク連合国に手を貸した魔王様。控えめに言ってドドドドドドドドドロリコンですね。知らんけど。

 グレンが面倒くさがらずに眷属である天魔達にしっかりと情報共有をして、カレーヌとセリカを使って、カレーヌの察知と主人公の転移能力を使って帝国とバジリスク連合国に侵入して、セリカの洗脳の力で全員洗脳して駒にすればこんな最悪のシナリオは訪れなかっただろうに。

 面倒くさがってふて寝するかなんて言って、ふて寝するからこんなことになってしまう。怠惰な主人公だけど、もう少し努力しようぜ。

 まあ、怠惰な主人公に努力なんて魔法の言葉は無理だな。

 うん、無理だな。

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