第147話・次回【雷鳴の天魔】死す
「あ、そういえば師匠?帝国どうしますか?」
夜、マリアが国王として仕事を終え、俺の自室にて一緒のベットで寝ていたら(意味深)いきなり帝国についての話を持ち出して来た。
帝国、それは世界で最も大きな人口(1億人)と少し前までは5人という国として最も天魔を保有している超巨大国家であり、正に世界の覇者と言っても過言ではない存在であった。
そう、あっただ。
あったなのだ。過去形なのだ。
とどのつまりどういうことかというと、ヤマダ王国強すぎ問題というやつだ。
ヤマダ王国の人口は1000万人程度とかろうじて大国と呼べる程度しかないのだが、保有している天魔の数もとい現在公式に明かしてあるヤマダ王国に仕えている天魔の数は何とビックリ驚異の5人だ。
人口1000万人と帝国の10分の1しかいないのに天魔の数が一緒っていうね。
何というか馬鹿だよね。
しかも、ヤマダ王国の何がおかしいって、ヤマダ王国に仕えている天魔5人全員がヤマダ王国という国ないし王族に対して心の底からの忠誠を誓っているということだ。
具体的に言えば【剣舞の天魔】であるイトと【察知の天魔】であるカレーヌと【闇染の天魔】であるマリアが俺に忠誠を誓っているという俺と結婚をしていて、まあマリアは国王やってるから少し例外かもやけど。
【直感の天魔】であるディスラー将軍は普通に俺に忠誠を誓っていて、【探知の天魔】はヤマダ王国そのものに忠誠を誓っている。まあ【探知の天魔】は俺の父上と仲が良いから少し特殊かもやけど。
それでも言えることは、ヤマダ王国の5人の天魔は全員、ヤマダ王国の利益になる為に行動をしてくれるってことだ。
これがめちゃくちゃに凄いというか異常なことなんだ。
だって、天魔という世界最強の力を持った存在が一国に忠誠を誓って、わざわざ自分から束縛されるなんてのは普通あり得ないんだから、そんなことよりも自分の好きなように生きた方がいいだろって話だ。
天魔にはそれを出来るだけの力がある訳だし。
で、話を戻すが、ヤマダ王国にはまだ強い点がある。
それは、聖教国を現在実質的な属国にしているということだ。
何でこうなったのかは、全部俺のせいといえば俺のせいなのだが、いや。違う、俺じゃなくてセリカが悪い。
俺は悪くない。
冗談はさておいて、聖女として聖教国を完全に支配しているセリカが俺の眷属だから、気が付いたらヤマダ王国に対して都合の良すぎる同盟という名前の属国をしていた。
内容は凄くシンプル。
ヤマダ王国は危機に陥った際は聖教国は全力で支援をする。
聖教国が危機に陥った際はヤマダ王国は支援をするが、もしも共倒れしそうになった場合は見捨てても良し。
聖教国はヤマダ王国に大聖堂を無償で建設した後、その実権を現在の国王に明け渡す。
なお、この大聖堂には聖女が常駐するものとする。
以上
終わり。
まあうん、シンプルだけど、アホかよって程ヤマダ王国に都合がいいよな。
だって、考えてもみろよ、大聖堂それも聖女がいる大聖堂だ。
それって=で聖教国にある王城よりも偉大なんだよな。
そんなものをヤマダ王国、国王に全ての権利と共に明け渡す。
真面目に何を言ってるのか分からない、その上でヤマダ王国は何かあっても聖教国の支援が受けられるし、逆にヤマダ王国は聖教国に対して支援をしてもいいししなくてもいいという明らかに不平等な条約まであるし。
これは属国と言わずしてなんと呼ぶ。
で、そんな聖教国属国状態というのを考えたらば、ヤマダ王国は更に強大な力を持っているということになる。
こうなってくると、帝国よりもヤマダ王国の方が世界の覇者になれる可能性を持っているっているね。
いやはやいやはやですよ。
つまり今の状況を物凄く簡単にシンプルにまとめると、こうだ。
【ヤマダ王国急に強くなってあれやし、どうにかして潰したいなby帝国】
まあ、はいそれはそうですよね。
それは帝国も怖いやろ。いきなりとんでもない力を持った化け物国家が生まれたらさ。
「なあ。マリアは帝国をどう対処するのが正解だと思う」
自分でも中々に難しい質問をしたと思う。
実はネズミ眷属を使って帝国を探らせた結果、現在帝国では3つの派閥に分かれているという事実が判明している。
一つ目は戦争派閥・帝国こそ至高という考えの元、バジリスク連合国と手を組んでヤマダ王国をぶっ潰そうと考えている戦闘狂の馬鹿どもの集まり。
二つ目は穏便派閥・下手に喧嘩を売って大きな損害を受けることを考えれば、ここは仲良くお手てを繋いでおこうっていう集まり。
三つ目は中立派閥・どちらにも属さずにその時その時で一番良い結果を得られそうな派閥に尻尾を振るつもりな犬コロの集まりだ。
で、この3つの派閥がひしめき合ってる状況、ぶっちゃけ正解なんてない、帝国とどう接するかってのは余りにも問題として難しすぎるって奴だ。
それに何だかんだでクソ程優秀であり、長年国王を勤めあげた父上ならいざ知らず、マリアには国王としての経験値が恐ろしく足りていない。
「そうですね。私は放置で良いと思います」
「ほう?放置ねえ、それまたどうしてそんな結論に至ったんだ」
ぶっちゃけマリアは戦争派閥を釣り上げての徹底抗戦か、穏便派閥と仲良くお手手を繋ぐ、講和案かのどっちかを選ぶと思ったが、違ったみたいだな。
「だって、下手に介入しても上手く成功出来ると思いませんし、前国王様である義父様ならいざ知らず、私には帝国へのコネなんてのはありませんから。だから放置です。それにもし仮にヤマダ王国に戦争を仕掛けるとなったら、帝国は自国の保有する天魔5人全員とバジリスク連合国とも同盟を結んだうえで更に天魔を引っ張ってこなければ勝ち目はゼロになるので、まあそんなことは国の防衛力的な観点から見ても出来ないでしょうし、特に問題はないでしょう」
「まあ、確かにそうかもね。なるほど、放置ねえ。確かに良い案かもね」
「でしょ。といっても一応師匠の意見は聞こうかなって思いましてね」
「なるほどね。うん、放置でいいよ。まあ俺はそういうの諸々面倒だし全部マリアに任せるよ」
「ありがとうございます。師匠、じゃあそうしますね。これで帝国の問題は解決ですね」
「いや、解決はしてなくねって、まあいいか、面倒くさい。俺は眠くなったし寝るよ。お休み」
「はい。お休みなさい。師匠」
かくして俺は心地の良い睡眠に身を任せるのだった。
―――――――――――――
タイトルで次回について盛大にネタバレをしていくスタイル。
因みに【雷鳴の天魔】は帝国に所属しています。
そして都合の良い所に【透明の天魔】に覚醒して戦闘狂であり暴れ回ってる元国王様が・・・、そんな二人が出会って何も起きないはずもなくってね。はい。
そして帝国について放置を決めこむヤマダ王国、帝国はヤマダ王国に【雷鳴の天魔】を殺されてします。
まあ、はい。駄目ですよね。
やっぱり主人公の身内は全員主人公の予想を超えてくるわwwwwwwww。
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