第142話・外伝・貴族・大臣は翻弄する
国王が失踪した。
この大事件を前にヤマダ王国の貴族・大臣達は国王様が何かしらの事件に巻き込まれたのではないかと判断を下し、すぐさまに【察知の天魔】であるカレーヌと【探知の天魔】に捜索協力願いを出した。
しかし、返って来た答えは二人共、拒否であった。
【探知の天魔】は「国王様は楽しく元気にやっているから邪魔をするな」と言い
【察知の天魔】カレーヌは「グレン様が探すなと言ってるので探しません」と言った。
普通であれば非難は免れない発言だが、二人とも天魔であった。たかが大国の貴族・大臣程度の存在が文句など言えるはずがなかった。
かくして、貴族・大臣達はこれからの対応について頭を悩まさせ、不毛な会議が始まる。
ある者は国王様を探すべきだと主張し、ある者は新しく王を立てるべきだと主張し、またある者は自分こそが王の代理となると主張した。
いきなり空いたヤマダ王国の王の椅子。
これは欲深い貴族や大臣にとっては恐ろしく魅力的に映ることであろう。かくして争いが生まれるとかそんなのは一切なかった。
敢えてもう一度言おう。
特に不毛な会議も起きなければ、誰も自分が国王になるとか言い出さなければ、自分の欲望を優先するようなこともしなかった。
誰もがヤマダ王国にとって最も良い選択性はどれかを考えていた。
何故?
何故かと問われれば簡単である。
まともな貴族と大臣しか残っていなかったからだ。
俗物的で屑な貴族も大臣もほとんどがグレンの手によって殺されてしまっていたのだ。
だからこそ、ほとんどの貴族がまともであり、この国の為に最も良い選択肢を模索し、実行する真に国の為に尽くす貴族・大臣であった。
そうして建設的な話し合いの末に、取り敢えず今国王がいきなりいなくなったという事実が露呈すれば混乱が大きく生じるので、国民はその他の貴族・一部大臣達には国王が失踪したという事実を隠すとともに、秘密裏に国王の探索、そして国王が見つからなかった時に最悪を考えて次の国王として、天魔であるイト殿とカレーヌ殿を妻にしている第五王子様をお飾りとして建てるという案が出た。
何故、第五王子をお飾りの国王にするかというと、理由は大きく2つあった。
一つ目は第五王子は怠惰でグウタラであり仕事を一切しないだろうから。つまりそれは下手に失敗をしたり変なことをして周りに迷惑をかけないということである。
2つ目は天魔という大国の王よりも力を持っている存在を二人も妻としているから。当たり前だが弱肉強食のこの世界、強い者が上に立つのは当然であった。
そしてそんな強い者の頂点に立つ天魔を妻に持つ第五王子が頂点に立つのもある意味で至極当然であった。
以上の2つの理由から国王が見つからなかったもしもの時は第五王子をお飾りの王に添えることが決まった。
ただ、あくまで最後の手段、国王が見つからなかった時に取る手段。
理想的なのは国王を見つけ出すことであった。
かくして国王が失踪してから8時間程立った時だった。
国王が失踪したという事実を知る貴族と大臣達にとんでもない情報がもたらされた。
その内容は【直感の天魔】であるディスラー将軍、【察知の天魔】であるカレーヌ騎士団長、【剣舞の天魔】であるイト殿の3人が第一王女を新しいこの国の王にするという意思表明をしたのだ。
天魔3人の意思表明。
これは意思表明ではなく、確定した事実のようなものであった。
そしてこの第一王女を王にするという一見、「何言ってんだお前ぇぇぇぇぇ」となりそうな案は貴族と大臣達に想像以上に好意的に受け入れられた。
何故となれば、答えは簡単。
第一王女は確かに戦闘狂で人格破綻者であるが、民からの信頼厚く、能力的には優れている人物であったからだ。
かくしてカレーヌの手によって捕まえられてイトの手によって治療および教育がされた第一王女はあれよあれよの間に王位につき、そのまま新しい王として君臨しましたとさ。
めでたしめでたし
な、わけあるかぁぁぁぁぁぁ。
敢えてもう一度言おう。
第一王女は戦闘狂で人格破綻者である。
そんな彼女が国王出来るか?出来るわけがないよね。
そして何が悪いって今の貴族と大臣達はヤマダ王国のことを愛し、ヤマダ王国の為に努力をする者達であった。
ダメダメとかを通り越している王様と優秀な貴族や大臣達。
こんなもの何が起きるかなんていうのは想像に容易かった。
かくしてグレンが横着しようとした結果、事態はより悪化していく。
とっとと、公爵令嬢であり【闇染の天魔】であるマリアを国王にすればいいものを。
――――――――――――
リアルでテストがテストしてテストしてる。
ほんでもって馬鹿みたいな量のレポートが襲い掛かってくる。
吐きそう。
しょうがないから一個一個やっていくしかないけど。逃げすぎて機嫌がヤバい。後雪もヤバい。外に出れない。学校も休み。
マジでクソ程面倒。
以上。言い訳でした。
ごめんなさい
因みに次回ようやく第一王女がやらかします。
お楽しみに。
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