第131話・第三王子が結婚をするらしい


 第三王子が結婚式を挙げるらしい。

 もちろん相手は件の公爵令嬢。


 これによってヤマダ王国の第三王子とソルティー国の公爵令嬢が恋愛結婚をするってことで、父上が裏でヤマダ王国とソルティー国で同盟を結んでこれから仲良くしようねってなったらしい。

 まあ、でも当たり前の話だ。

 ヤマダ王国もとい国王である俺の父上としては他国に喧嘩を売ろうとは一切思ってないし、ソルティー国としても、誰が好き好んで天魔を4人も抱え、強力な軍隊を持っているヤマダ王国と敵対をしたいんだって思う話だ。


 だからヤマダ王国もソルティー国も仲良くはしたいと思っていた。

 でも、その上手な口実がなかった。


 それはもちろん、いや口実なんて、互いに仲良くしたいのだから、普通に同盟を結べよってなればその通りなんだが、国家間においてはそう上手くはいかない。


 いきなりヤマダ王国が仲良くしましょうねって言っても、ソルティー国からしてみれば今まで下だった国が力を持った瞬間に仲良くしようねと手を差し伸べてくる。

 まあ、信じられるわけがないよね。少なくとも多少でも頭が回れば、何か裏があるのではないかと疑ってしまうし、同盟というのにかこつけて、不利な条約を結ばせてくるんじゃないのかって思ってしまう。

 これはしょうがない。当たり前の話だ。


 逆にソルティー国がヤマダ王国に対して仲良くしようね、同盟を結びましょうねってのも難しい話だ。

 今まで同盟を結んでいなかったのに、ヤマダ王国が力を持った瞬間に同盟を結ぼうとしてくるソルティー国。

 まあ、信じられる要素ゼロだよねって話だ。


 だから互いに仲良くしたい同盟を結びたいけど結べなかった。


 そんな中に降って湧いて来たヤマダ王国の第三王子とソルティー国の公爵令嬢の恋愛結婚。

 こんなもの同盟を結ぶ以外の選択肢ないだろ。


 ヤマダ王国の国王もとい俺の父上としては私の息子である第三王子がおたくの王家の血筋も引いている公爵令嬢と恋愛結婚をした。非常に喜ばしいことですし、ついでに私達ヤマダ王国・ソルティー国同士仲良くしてきましょうよ。

 私達の仲が悪いと息子を悲しませてしまいますしってなれば、ソルティー国としても割と納得して安心をして同盟を結べるだろう。


 うん。素晴らしいですね。

 第三王子のおかげで、ソルティー国との面倒事はまあ起きなさそうだな。同盟を結んだわけやし。

 いやあ、ありがとう第三王子、いや、兄上よ。感謝するぜ。


 といってもだから結婚式に出るとかそういうつもりはサラサラないけど、面倒くさいし、まあ、兄上と会う機会があれば「おめでとうございます」ぐらい言うとしますか。忘れてなかったらだけど。多分。知らんけど。

 なんというか面倒くさがりの俺らしいなって思うわ。いや本当にね。

 因みにイトとカレーヌは普通に結婚式に出るし、もちろん父上も結婚式に出るらしいのでその結婚式で問題が起きるってのは余程なことがない限りは大丈夫だろ。

 イトもカレーヌも天魔だ。それを突破するってのは同じ天魔が最低でも2人以上出てこないと不可能だからな。

 何その無理ゲーって奴だ。


 だから大丈夫。問題はなしだ。


 きっと何事もなく上手くいくだろう。







 ―――――――――――








 ソルティー国の公爵令嬢と第三王子もとい俺の兄上との結婚式は何事もなく終わった。

 といっても俺はその間、怠惰に惰眠を貪っていたわけだが。

 イト曰く、公爵令嬢も第三王子も二人共凄く幸せそうでしたよって言ってた。

 良い事だね。

 

 で、結婚式が終わった夜。


 事件は起きた。


 何が起きたかと言うと、国王もとい俺の父上の力がいきなり全て消えて、そのまま倒れてしまったらしい。

 何とか死んでこそいない物の衰弱が激しく、医者から亡くなるのも時間の問題だって話が出て来たってのをカレーヌから伝えられた。


 まあ。うん、マジでどういうことですか?

 え?は?誰だよ。父上にそんなことをした酷い奴はって話だな。(グレンは父上ボコボコにぶん殴った前科持ち)

 面倒だけど父上に死なれたら困るし、サクッと解決させて、こんな面倒事を引き起こした馬鹿にはそれ相応の報いを受けて貰いますか。

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